101E22

次の文を読み、22~24の問いに答えよ。
61歳の男性。複視と歩行障害とを主訴に来院した。
現病歴:今日の午前10時頃、会議中に突然物が二重に見え、右上下肢が動かしづらいことに気付いた。様子をみていたが改善しないため午後5時に来院した。
既往歴:10年前から糖尿病で、5年前からインスリンで加療中である。6年前から高血圧で加療中である。2年前に突然、右上下肢が動かしづらくなり、歩く時ふらつく症状があったため入院したことがある。それらの症状は数日で消失し、1週間で退院した。
家族歴:兄と姉とが高血圧で加療中である。
現 症:意識レベルはJCS I-1。顔の表情は正常。身長165cm、体重52kg。体温36.2℃。臥位で脈拍84/分、整。血圧156/80mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、圧痛と抵抗とを認めない。肝・脾を触知しない。右側方視で左眼は内転できず、右眼に水平眼振を認める。左側方視では両眼とも正常に動く。輻輳と垂直方向の眼球運動とは正常である。右上下肢の筋力低下と深部腱反射亢進とを認める。起立・歩行障害を認める。四肢に不随意運動はなく、頭痛、失語・失行・失認、項部硬直、顔面筋麻痺および聴力障害を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖1+。血液所見:赤血球495万、Hb 16.0g/dL、Ht 44%、白血球6,500、血小板25万。血清生化学所見:空腹時血糖240mg/dL、HbA1c 8.2%(基準4.3~5.8)、総蛋白6.9g/dL、アルブミン4.8g/dL、尿素窒素9.2mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、AST 18U/L、ALT 14U/L。心電図と頭部単純CTとに異常を認めない。
病変の部位はどこか。
内包
視床
中脳
小脳

解答: e

101E22の解説

高齢男性の複視と歩行障害。突発のエピソードからは脳梗塞が考えやすい。糖尿病の既往や、高血圧の家族歴もリスクである。「右側方視で左眼は内転できず、右眼に水平眼振を認める」という記載からは一見、左眼の内転障害(動眼神経麻痺など)を疑うも、「輻輳と垂直方向の眼球運動とは正常」とあり、即座に否定される。これはMLF症候群である。MLF症候群は橋の障害にてみられる。
a〜e 以上より、eの橋が正しい。橋梗塞と考えられる。

正答率:53%

テーマ:【長文1/3】脳梗塞の病変部位

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