100F47

56歳の女性。皮疹と筋力低下とを主訴に来院した。半年前から階段の昇降がつらくなり、しゃがみ立ちが困難になった。最近、上眼瞼に紫紅色の浮腫が、肘と膝関節との伸側に紅斑が出現した。半年間で5kg体重が減少した。身長161cm、体重37kg。体温37.6℃。脈拍80/分、整。血圧104/62mmHg。前額部、鼻唇溝、後頭部および後頸部に紅斑を認める。右頸部と両腋窩とに大豆大のリンパ節を触知する。心雑音はない。両側下肺野にfine cracklesを聴取する。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。徒手筋力テストで、頸筋3、両側の上下肢筋4。神経学的に異常所見はない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。便潜血1+。血液所見:赤沈25mm/1時間、赤血球366万、Hb 10.9g/dL、白血球6,200、血小板20万。血清生化学所見:空腹時血糖100mg/dL、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、AST 50U/L、ALT 32U/L、CK 148U/L(基準10~40)。免疫学所見:CRP 0.1mg/dL、抗核抗体80倍(基準20以下)。
この患者で予想される合併症はどれか。2つ選べ
感染症
腎障害
悪性腫瘍
間質性肺炎
中枢神経障害

解答: c,d

100F47の解説

中高年女性の皮疹と筋力低下。皮膚筋炎を想定する。上眼瞼の紫紅色浮腫はヘリオトロープ疹、肘と膝関節伸側の紅斑はGottron徴候である。両側下肺野にfine cracklesを聴取するのは間質性肺炎であろう。CK上昇も合致する。
a 治療薬として副腎皮質ステロイド薬を使用した後であれば感染症にかかりやすくなる。しかし、皮膚筋炎単独では易感染性とはならない。
b 皮膚筋炎で腎障害はみられない、という事実は陰性症状として記憶に値する。
c 正しい。皮膚筋炎は悪性腫瘍のデルマドロームとしても知られ、本患者では便潜血1+であることから消化管悪性腫瘍が考えられる。
d 正しい。上記の通り。
e 中枢神経障害は全身性エリテマトーデス〈SLE〉などでみられる。

正答率:81%

テーマ:皮膚筋炎〈DM〉の合併症

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