100F26

74歳の女性。前胸部痛で緊急入院した。前胸部痛は4日前に起こり、徐々に改善したが、悪心を伴う胸部圧迫感が持続している。20年来高血圧の治療を受けている。入院翌日、突然胸部苦悶感が出現し、血圧72/40mmHgまで低下した。前胸部に全収縮期雑音を新たに聴取する。心電図(A)と心エコー図(B、C)とを別に示す。
診断はどれか。
梗塞後狭心症
乳頭筋断裂
心タンポナーデ
心室中隔穿孔
右室梗塞

解答: d

100F26の解説

前胸部痛を主訴とする74歳女性。高血圧の既往は冠危険因子である。心電図(A)ではV1~V6でST上昇、V1~V5で異常Q波を認め、II、III、aVFでもST上昇と異常Q波を認めることから左冠動脈前下行枝の閉塞による広範前壁、下壁の梗塞と考えられる。入院翌日に血圧低下、前胸部に全収縮期雑音を新たに聴取することから心筋梗塞の急性期合併症を発症したと考える。心エコー図(B、C)では心室中隔でカラージェットを認めることから、心室中隔穿孔と診断する。
a・c・e これらでは心雑音を新たに聴取しない。
b 乳頭筋断裂では僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉となり、全収縮期雑音を聴取する。しかし心エコー所見が矛盾している。
d 正しい。心エコー図でのカラージェットの部位と方向から心室中隔穿孔である。

正答率:73%

テーマ:急性心筋梗塞〈AMI〉による心室中隔穿孔の診断

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