100F13

32歳の男性。発熱と嚥下困難とを主訴に来院した。4日前から発熱と咽頭痛とがあったが放置していた。昨日から高熱と開口障害とが出現している。血液所見:赤血球480万、Hb 13.0g/dL、白血球13,600。血清生化学所見:AST 30U/L、ALT 28U/L。CRP 13.6mg/dL。咽頭部の写真(A)と咽頭部造影CT(B)とを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
急性咽頭炎
扁桃周囲膿瘍
腺窩性扁桃炎
伝染性単核症
アフタ性口内炎

解答: b

100F13の解説

咽頭部の写真では、左側の口蓋弓の発赤腫脹を認め、口蓋垂の健側偏移を認める。発熱と咽頭痛、開口障害などの症状やCTで膿瘍形成を認めることから扁桃周囲膿瘍と考えられる。
a 咽頭炎も同様の症状になると考えられるが、開口障害を起こすことは少なく、写真からも否定的である。
b 正しい。32歳という年齢も大きなヒントだろう。
c 腺窩性扁桃炎(陰窩性扁桃炎)は扁桃陰窩に膿栓がみられるような急性・慢性扁桃炎のことをいう。写真では膿栓や膿栓が癒合した偽膜はないため否定的である。
d 発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹を3徴とするEBウイルス感染症である。白血球は正常〜やや上昇のことが多く、異型リンパ球が出現する。また、肝脾腫を合併することが多いのでASTやALTが上昇することが多い。本症例では白血球分画が不明であり積極的に伝染性単核球症を疑う所見がなく、可能性はあまり高くないだろう。
e 口腔内粘膜に白・黄色の小さな腫瘍がみられ炎症を起こしている疾患である。嚥下困難というよりも食べ物や飲み物がしみるという主訴になる。本症例では画像で明らかな腫瘤があり、否定的。

正答率:94%

テーマ:扁桃周囲膿瘍の診断

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