100A55

56歳の男性。起床時に意識混濁を起こして救急車で搬入された。数年前から起床時あるいは空腹時に意識消失発作を起こすことがあり、糖分を摂取すると軽快していた。この間に体重が10kg増加した。身長160cm、体重75kg。脈拍108/分、整。血圧174/90mmHg。血清生化学所見:空腹時血糖36mg/dL、空腹時血中インスリン72μU/mL(基準4~12)。免疫学所見:抗インスリン抗体7%以下(基準7以下)。
最も可能性の高いのはどれか。
肝細胞癌
Addison病
インスリノーマ
下垂体機能低下症
インスリン自己免疫症候群

解答: c

100A55の解説

中高年男性の意識混濁。(1)起床時あるいは空腹時に意識消失発作、(2)糖分を摂取すると軽快、(3)空腹時血糖36mg/dL、とWhippleの3徴が揃っている。抗インスリン抗体が基準値内であることからインスリン自己免疫症候群は否定的。空腹時血中インスリンが高値であることと合わせ、インスリノーマを考えたい。
a 単独で低血糖発作はみない。
b 副腎皮質機能低下により低血糖となることはあるも、インスリン高値とはならない。
c 正しい。上記の通り。
d ACTH分泌低下により低血糖となることはあるも、インスリン高値とはならない。
e 上記の通り、除外できる。
※古典的だが、低血糖発作を網羅的に鑑別する機会を提供してくれる良問。Whippleの3徴=インスリノーマ、では決して無いので総合的に考えられるスキルを身につけて欲しい。

正答率:91%

テーマ:インスリノーマの診断

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