解決済 112D53 07.循環器

SpO2 94% (room air) のSTEMI患者への酸素投与の是非について

平素よりお世話になっております。

本問題は、STEMI患者に対する初期対応として適切でないものを選択させる問題ですが、適切であるとされる選択肢の中に「酸素投与」が含まれています。
しかし、日本循環器学会の急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)には「SpO2 90%以上の患者に対してはルーチンの酸素投与は推奨されない(推奨クラスⅢ, No benefit)」と記載されており、本症例でもSpO2がroom airで94%ですので、酸素投与も適切ではないように考えられます。
さらに、循内の実習の際にも「『SpO2が94%以上の患者に対する酸素投与は、むしろ心筋障害を増悪させる』とCirculation(2015; 131(24))で報告されている」と習いました。
やはり今後の国家試験では、このような症例においては積極的に酸素投与を適切な選択肢とみなすべきではないのでしょうか?

回答2件

  • 仰せの通り、近年はルーチンの酸素投与は推奨されておらず、ガイドラインも変わってきています。ルーチンの酸素投与ではなく、適切な症例に酸素投与が行われるべきだと思います。が、一方で、最新のガイドラインではまだSTEMIに心不全を合併した患者には酸素投与は行うとされており、本問は決して酸素投与をしてはいけないと言い切れないのではないかとも思います。

    112回と直近の問題でこんな感じなので、国試に関して言えば、受験の際にはこの事項を頭に入れつつ、総合的に判断していくしかないのかなと思います。

    お答えになっていれば幸いです。

    • こち 先生

      ご回答いただきありがとうございます。
      本症例では心不全徴候を示唆する奔馬調律が聴取されていることを見落としていました。
      確かに現行のACSガイドラインでも、SpO2が90%を超えていても心不全徴候があれば推奨クラスⅠで酸素投与が推奨されているようなので、酸素投与も妥当であるといえますね。
      国試ではグレーゾーンのような症例に当たることもあるかもしれませんが、その際はこち先生の仰るように総合的に選択肢を吟味したいと思います。
      お忙しい中ご対応いただき、誠にありがとうございます。

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  • 問題参照 112D53

    65歳の男性。糖尿病の教育入院中である。退院予定日の午前4時に突然の前胸部痛を自覚し、30分程度我慢したが症状が持続するため、病棟スタッフに訴えた。これまでに同様の症状を自覚したことはない。60歳時から糖尿病に対し経口糖尿病薬で治療中である。家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温36.6℃。心拍数104/分、整。血圧160/94mmHg。呼吸数20/分。SpO2 94% (room air)。心雑音はないが、奔馬調律を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。直ちに記録した心電図を別に示す。

    この患者に対する初期対応として適切でないのはどれか。

    • a 酸素投与
    • b 硝酸薬投与
    • c 静脈路確保
    • d アトロピン投与
    • e 心電図モニター装着
  • 関連トピック

    なし