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88D23
45歳の男性。4ヵ月前に突然強い口渇と多尿とをきたした。昼夜を問わず2~3時間おきに排尿と飲水とを繰り返している。精密検査のため来院した。皮膚と口腔粘膜とが乾燥している。脈拍92/分、整。血圧108/68mmHg。24時間尿量8,600mL、比重1.004。血清生化学所見:総蛋白8.4g/dL、Na 148mEq/L、K 3.7mEq/L。水制限試験後に血清浸透圧292mOsm/L(正常275~288)、尿浸透圧230mOsm/Lとなった。
この患者の薬物治療開始後、1週間観察すべき所見はどれか。
a脈拍 b血圧 c呼吸 d体温 e体重
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脱水の改善だけなら1週間もかからないでしょうし、この問題では脱水の評価を聞かれているわけではないのでしょう。薬物治療開始後という表現もあることですし、中枢性尿崩症の治療薬である酢酸デスモプレシン(DDAVP)の投与にあたって何に注意すべきかということです。となれば、DDAVPの過剰投与による水中毒が起きていないか体重で評価しましょうという趣旨です。この場合、体重は脱水の指標ではなく水分貯留の指標として用いられています。
111G60の解説にあるように、体重を脱水の評価に用いるのは主に小児であり、本問では循環血液量が足りているかに着目して脈拍や尿比重が正答となっているのだと思います。
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次の文を読み、60〜62の問いに答えよ。
34歳の女性。腹痛、下痢および発熱を主訴に来院した。
現病歴:2日前に夫婦で焼き鳥と鳥刺しを食べた。昨日深夜に腹痛と悪寒とで目を覚まし、トイレに駆け込んだところ水様下痢であった。朝までに5、6回の水様下痢と1回の嘔吐があり、夫に連れられて受診した。夫は下腹部痛はあるが、下痢はない。
既往歴:4歳時に肺炎。
生活歴:会社員。33歳の夫との2人暮らし。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。
家族歴:父親が高血圧症。母親が糖尿病。
現 症:意識は清明。身長155cm、体重48kg。体温37.8℃。脈拍112/分、整。血圧102/68mmHg。呼吸数18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内と皮膚は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、全体に軽度の圧痛を認めるが反跳痛はない。肝・脾を触知しない。皮疹を認めない。
検査所見:尿所見:比重1.031、蛋白(±)、糖(−)、ケトン体2+、潜血(−)。便所見:外観は淡黄色水様。血液の付着はない。血液所見:赤血球452万、Hb 13.1g/dL、Ht 40%、白血球10,300(好中球81%、好酸球2%、好塩基球0%、単球1%、リンパ球16%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白8.0g/dL、アルブミン4.1g/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 10U/L、ALT 16U/L、LD 289U/L(基準176〜353)、ALP 215U/L(基準115〜359)、γ-GTP 14U/L(基準8〜50)、アミラーゼ55U/L(基準37〜160)、CK 50U/L(基準30〜140)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、尿酸4.2mg/dL、血糖82mg/dL、Na 133mEq/L、K 3.0mEq/L、Cl 95mEq/L。CRP 4.5mg/dL。
脱水と判断し、直ちに生理食塩液の急速輸液を開始した。
脱水改善の指標となる所見はどれか。2つ選べ。