解決済 100C1 22.麻酔

術中の出血管理、電解質異常、酸塩基平衡

(高血圧と腎不全の既往があって、Kが5.1と高めな人が)、左肺癌に対する肺葉切除術中に、肺動脈からの1900mlの出血に対して、1600mlの赤血球濃厚液を急速輸血したところ、高Kになって、心室細動を起こしたという症例です。
この輸血量が適切ではなかったということでしょうか。

また、高Kでアシドーシスとなっているのに、BEがマイナスとなっていたり、PaO2が異常に高いのはどういう理由でしょうか。

回答3件

  • 回答失礼致します。
    まずアシドーシスとBEマイナスは正しい関係かと思われます。
    また血中酸素分圧が異常に高いのは肺換気を行っているからだと思います。
    次に赤血球を急速輸血した時になぜ高カリウム血症になったかについてですが、
    http://www.jrc.or.jp/mr/reaction/non_hemolytic/hyperkalemia/
    が参考になるかと思います。
    赤血球は通常放射線照射をしているためある程度壊れている可能性があること、またその赤血球が古くなればなるほど壊れるためカリウムが増えていくこと、さらにはこの患者様は腎不全を患っており元々血中カリウム濃度が高い可能性があることなど(上のhpに詳しく書いてありました。)から、赤血球の投与が刺激となり一気に病状が悪化したのではないかと思います。
    このような事を考えた事がなかったので調べるいい機会になりました。ありがとうございます。

  • 回答ありがとうございます。BE − はHCO3- など陰イオンの不足を示し、代謝性アシドーシス になっているということでしょうか。また代償として過換気になったことを高O2血漿が表しているということでしょうか。肺癌手術時は片肺換気ですので、そこまで至るのかと思ったりしてしまいました。

    輸血前に、GVHD予防で放射線投与をしており、赤血球が壊れやすくなっていること 等 なるほどと感じました。

    ドスコイ高崎様、いつも答えて頂いている質問の回答は、私が質問したものも、それ以外のものも勉強になることが多く、感謝しております。

  • 「BE − はHCO3- など陰イオンの不足を示し、代謝性アシドーシス になっているということでしょうか。」
    についてですが、BE-は血液を正常に戻すために必要な酸が+か-かで表されます。今回はアシドーシス故血中の酸が過剰になっているので、それを戻すのに必要な酸は-(マイナス)となります。(答えになっているでしょうか?質問の意図に沿っていないかもしれません。)
    https://www.acute-care.jp/ja-jp/learning/glossary/bloodgas/be
    が参考になると思います。

    「代償として過換気になったことを高O2血漿が表しているということでしょうか。肺癌手術時は片肺換気ですので、そこまで至るのかと思ったりしてしまいました。」

    今回は左右分離肺換気と書いてありますので、肺の手術ですが左右の肺に酸素を送り込んでいると考えられないでしょうか?
    またアシドーシスが進んだことによる代償としての過換気に関しての文献などが見つからなく、私の予想の範疇で申し訳ないのですが仮に
    アシドーシスの代償→過換気→酸素分圧上昇
    が起こるとした場合PaCO2や、PHの値などが酸素分圧に対してそこまで大きく変化していないことが引っ掛かります。なので、人工呼吸による酸素分圧の高値と考えられないでしょうか?

コメントを投稿する

ログインするとコメントを投稿することができます。

  • 問題参照 100C1

    次の文を読み、1~3の問いに答えよ。
    70歳の男性。肺癌の手術目的で入院した。
    現病歴:3か月前から咳が出現した。近医にて胸部エックス線撮影、胸部CTおよび気管支鏡検査を受け、左上葉原発の肺癌と診断された。
    既往歴:38歳から高血圧症で降圧薬を服用中である。40歳から腎不全に対して週3回の血液透析を受け、無尿で経過している。
    現 症:身長165cm、体重60kg。脈拍64/分、整。血圧148/88mmHg。皮膚は乾燥し、左前腕に内シャントを認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。
    検査所見:血液所見:赤血球380万、Hb 10.1g/dL、Ht 35%、白血球6,800、血小板32万。血清生化学所見:尿素窒素72mg/dL、クレアチニン7.6mg/dL、Na 140mEq/L、K 5.1mEq/L、Cl 104mEq/L。心電図上、洞調律であり虚血を疑う所見はない。手術前日に血液透析を受けた。
    手術・麻酔経過:右側臥位にて左肺上葉切除を予定した。麻酔は全身麻酔で換気は左右分離肺換気で行った。開胸操作までは脈拍64/分、血圧160/96mmHg前後で推移したが、胸腔内操作が始まって1時間後、肺動脈からの出血が始まり、電解質液、代用血漿製剤1,000mLを投与した。10分後、出血量が1,900mLを超え、血圧が64/48mmHgへと低下した。赤血球濃厚液1,600mLを急速に輸血したところ、心電図上T波が尖鋭化し心室細動となった。純酸素による両肺換気、術者による心マッサージ、電気的除細動によって3分後に回復し、リドカイン1mg/kg/時間と塩酸ドパミン5μg/kg/分の持続投与で、以後洞調律で安定した。心拍再開後の瞳孔径は左右とも2mmであり、麻酔からの覚醒に問題はなかった。心室細動時の動脈血ガス分析(両肺換気、100%酸素)ではpH 7.30、PaO2 592Torr、PaCO2 37Torr、BE -6.5mEq/L。Hb 9.6g/dLであった。
    急速輸血を開始した時の出血量は患者の推定循環血液量の約何パーセントか。
    • a 10%
    • b 20%
    • c 30%
    • d 40%
    • e 50%
  • 関連トピック

    なし