解決済 114C72 13.加齢老年学

アスピリンの副作用について

日頃より大変お世話になっております。
こちらの問題の選択肢b.抗血小板薬についてですが、アスピリンはnsaidsの1つであり、
nsaidsの副作用として腎障害が挙げられると考え、この症例の患者さんにも尿素窒素、クレアチニンの値から腎障害があり、
投与すべきではないのでは?と考えてしまったのですが、どのように解釈したら良いかご教授いただけないでしょうか?
私個人といたしましては、脳梗塞の既往があることを考えると、腎障害によるデメリットよりも、
脳梗塞を予防するメリットのほうが大きいためではないかと考えております。
お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

回答2件

  • アスピリンはcyclooxygenase-1,-2を阻害します。抗血小板作用でのアスピリンの使用は比較的少量で使用するため、thromboxaneA2の方が影響を受けやすく抗血小板作用を受けます。しかし、高容量ではPGI2を低下させこの現象はアスピリンジレンマと呼ばれます。
    元々、NSAIDによる腎障害はPGs産生が阻害され腎血流量と糸球体濾過量が減少し腎機能が低 下するために起こります。(PGは主に輸入細動脈の拡張作用に関わっています。アンギオテンシンIIは輸入・輸出細動脈どちらも収縮させる作用があるけれども輸出細動脈収縮作用メインなのは輸入細動脈のPGs産生作用のため。)
    したがって100mgの少量アスピリン投与ではあまり腎障害は起こりづらいと思います。

    (興味があれば)
    「電解質についても腎内PGsは尿細管でのNa再吸収、集合管で ADH による H2O 再吸収を調節しており、NSAIDs 投与に よる PGs 抑制により Na および H2O が貯留し、浮 腫や低 Na 血症が起こりえる。また遠位尿細管で のアルドステロン作用を抑制し、高 K 血症をきたす。」こともあるようです。
    ↓p18
    https://nsmc.hosp.go.jp/Journal/2019-9/SMCJ2019-9_review02.pdf 

  • ご丁寧にご返信いただき、ありがとうございます。nsaidの作用も容量によって異なることを教えていただき、納得できました。
    また、nsaidで腎障害が起きる機序も大変わかりやすく教えていただき、ありがとうございます。
    また何か分からないことが出てきましたら、質問させていただきます。
    今後ともよろしくお願いします。

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  • 問題参照 114C72

    次の文を読み、以下の問いに答えよ。

    76歳の女性。全身倦怠感と食欲不振を主訴に来院した。

    現病歴:65歳時に高血圧症および骨粗鬆症と診断され、かかりつけ医にて内服加療を受けていた。2か月前から変形性膝関節症の治療を受けていたが、立位や歩行時の痛みが強く、ベッド上で過ごすことが増えていた。1週前から食欲が徐々に低下していた。3日前から全身倦怠感の訴えがあり、ベッド上からほぼ動かなくなった。同居していた家族が心配し、付き添われて受診した。

    既往歴:74歳時に脳梗塞を発症。

    生活歴:左上下肢の不全麻痺としびれ感が残っており、杖歩行であるが身の回りのことは1人でできていた。喫煙歴と飲酒歴はない。

    家族歴:父親が68歳時に肺癌で死亡。

    現 症:意識は清明。身長155cm、体重41kg。体温36.2℃。脈拍104/分、整。血圧86/54mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼はくぼんでいる。眼瞼結膜は貧血を認めない。口腔粘膜は乾燥している。頸静脈は虚脱している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。左上下肢に麻痺を認める。

    検査所見:尿所見:蛋白(−)、潜血(−)、糖(−)。血液所見:赤血球396万、Hb 12.1g/dL、Ht 39%、白血球8,600、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.1g/dL、AST 34U/L、ALT 12U/L、LD 221U/L(基準120〜245)、ALP 352U/L(基準115〜359)、CK 38U/L(基準30〜140)、尿素窒素52mg/dL、クレアチニン2.2mg/dL、血糖104mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 108mEq/L、Ca 12.4mg/dL、P 3.6mg/dL。CRP 0.2mg/dL。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは26点(30点満点)。

    入院後、病棟薬剤師が確認したこの患者のお薬手帳を示す。

    ○△医院
    患者名:厚生 花子
    患者ID:114-0021
    医師名:労働 一郎
    処方日:2019/12/08
    Rx 1 アムロジピン 5mg錠 1回1錠
    〈降圧薬〉 (1日1回) 朝食後 28日分
    Rx 2 アスピリン 100mg錠 1回1錠
    〈抗血小板薬〉 (1日1回) 朝食後 28日分
    Rx 3 メコバラミン 500μg錠 1回1錠
    〈ビタミンB12 (1日3回) 朝昼夕食後 28日分
    Rx 4 アルファカルシドール 1μg錠 1回1錠
    〈活性型ビタミンD〉 (1日1回) 朝食後 28日分
    Rx 5 ロキソプロフェン 60mg錠 1回1錠
    〈NSAID〉 (1日3回) 朝昼夕食後 28日分

    中止すべき薬剤はどれか。3つ選べ

    • a 降圧薬
    • b 抗血小板薬
    • c ビタミンB12
    • d 活性型ビタミンD
    • e NSAID
  • 関連トピック

    なし