解決済 108C27 05.感染症

抗菌薬の選択

医学科6年生です。
画像から、確かにGram陽性双球菌を認め、肺炎球菌の存在は確認できるのですが、この視野の中に周囲にGram陰性桿菌を8つ程度認められるように見えます。
肺炎球菌以外の多重感染もあると考えて、最初は広域のカルバペネムを使うのが第1選択と考えるのですが如何でしょうか?

御意見いただければ幸いです。

回答3件

  • 喀痰の中にいる細菌がすべて肺炎の原因菌である、とは限らないと思います。
    喀痰は口腔内を経由して喀出されます。それ故、口腔内にいる常在菌も混じる可能性があります。画像で見えるグラム陰性桿菌は悪さをしていない口腔内常在菌の一つであり、出されるときに偶然混じったものではないでしょうか。
    そのように考えるとカルパペネムを投与する必要はないように思いますがいかがでしょうか?

  • 感染症についてですが、
    微生物が「原因」で病気は起きますが、微生物「そのもの」は病気ではありません。
    これは、重要なポイントかと思います。

    つまり、微生物の存在のみでは、抗菌薬の投与に関して十分条件ではないということです。

    -------------------------------

    問題に戻りますと、

    ① 病歴、検査所見から、市中肺炎を疑います。
    ② そして、疫学です。頻度として、市中肺炎の起因菌は、
    肺炎球菌、インフルエンザ桿菌 などが頻度として多いことはご存知かと思います。
    ③ Gram染色で、Gram陽性双球菌を認めます。

    以上から、この患者さんは「肺炎球菌が原因の市中肺炎」が確からしいと考えます。

    市中肺炎の原因菌としては、非定型なものであればマイコプラズマやクラミジアなどもありますし、ウイルスもありますが、臨床症状と疫学から総合的に考えて、Empiricな治療が行われるのではないでしょうか。
    (主に上述の原因菌をターゲットとして行われるのだと思います)

    染色で見られるGram陽性双球菌以外の菌が原因となって病気を起こしているのではないかという疑問は、
    まったくヘンではないと思いますが、本問に関して言いますと、
    抗菌薬として第一選択となるのはどれか。と問われていますから、
    解答に関してはあまり悩まずともよいのではないでしょうか。

  • 質問者です。
    抗菌薬の選択は109F17のように現在の症状に悪影響を与えているものの概念を意識して素直に選べば良いのですね。
    大変納得しました。

    丁寧な回答、有り難うございました。

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  • 問題参照 108C27

    現病歴:5日前から咳が出るようになった。2日前から咳をすると胸の痛みを感じるようになった。今朝から38.2℃の発熱を認めたため受診した。
    既往歴:特記すべきことはない。アレルギー歴はない。
    生活歴:喫煙歴はない。
    現 症:意識は清明。身長152cm、体重48kg。体温38.4℃。脈拍84/分、整。血圧136/82mmHg。呼吸数24/分。SpO2 94%(room air)。心音に異常を認めない。右背部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
    検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球410万、Hb 13.1g/dL、Ht 38%、白血球10,700(桿状核好中球33%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球15%)、血小板20万。血液生化学所見:尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸3.8mg/dL、血糖108mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.7mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 9.0mg/dL。胸部エックス線写真で心胸郭比48%、右の中肺野と肺門部に浸潤影を認める。喀痰のGram染色標本を別に示す。
    抗菌薬として第一選択となるのはどれか。
    • a ペニシリン系
    • b カルバペネム系
    • c マクロライド系
    • d ニューキノロン系
    • e アミノグリコシド系
  • 関連トピック

    なし