医学科6年生です。
画像から、確かにGram陽性双球菌を認め、肺炎球菌の存在は確認できるのですが、この視野の中に周囲にGram陰性桿菌を8つ程度認められるように見えます。
肺炎球菌以外の多重感染もあると考えて、最初は広域のカルバペネムを使うのが第1選択と考えるのですが如何でしょうか?
御意見いただければ幸いです。
喀痰の中にいる細菌がすべて肺炎の原因菌である、とは限らないと思います。
喀痰は口腔内を経由して喀出されます。それ故、口腔内にいる常在菌も混じる可能性があります。画像で見えるグラム陰性桿菌は悪さをしていない口腔内常在菌の一つであり、出されるときに偶然混じったものではないでしょうか。
そのように考えるとカルパペネムを投与する必要はないように思いますがいかがでしょうか?
感染症についてですが、
微生物が「原因」で病気は起きますが、微生物「そのもの」は病気ではありません。
これは、重要なポイントかと思います。
つまり、微生物の存在のみでは、抗菌薬の投与に関して十分条件ではないということです。
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問題に戻りますと、
① 病歴、検査所見から、市中肺炎を疑います。
② そして、疫学です。頻度として、市中肺炎の起因菌は、
肺炎球菌、インフルエンザ桿菌 などが頻度として多いことはご存知かと思います。
③ Gram染色で、Gram陽性双球菌を認めます。
以上から、この患者さんは「肺炎球菌が原因の市中肺炎」が確からしいと考えます。
市中肺炎の原因菌としては、非定型なものであればマイコプラズマやクラミジアなどもありますし、ウイルスもありますが、臨床症状と疫学から総合的に考えて、Empiricな治療が行われるのではないでしょうか。
(主に上述の原因菌をターゲットとして行われるのだと思います)
染色で見られるGram陽性双球菌以外の菌が原因となって病気を起こしているのではないかという疑問は、
まったくヘンではないと思いますが、本問に関して言いますと、
抗菌薬として第一選択となるのはどれか。と問われていますから、
解答に関してはあまり悩まずともよいのではないでしょうか。
質問者です。
抗菌薬の選択は109F17のように現在の症状に悪影響を与えているものの概念を意識して素直に選べば良いのですね。
大変納得しました。
丁寧な回答、有り難うございました。
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