解決済 116D33 12.小児科

新鮮凍結血漿投与について

解説では凝固因子(特にビタミンK依存性の第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子)を補充する目的で新鮮凍結血漿を投与するとされています。
ですが、ビタミンKが欠乏している状態で凝固因子だけを補充しても前駆体のままであり、凝固反応は起きないのではないかと考えました。
この状況で新鮮凍結血漿を投与したということはビタミンKもセットで静注済みである、と捉えなければならないということでしょうか。

回答2件

  • 凝固因子とビタミンKで調べたところ、こちらのサイトを見つけることができました。
    http://square.umin.ac.jp/transfusion-kuh/related/VitKprotein/index.html(熊本大学病院 輸血・細胞治療部)
    ここから解釈するに、「VitKは体内のPIVKA(前駆体)を凝固因子へ変換する際に用いられる補酵素」なのではないでしょうか。

    やまだいちろうさんのおっしゃる通り、VitKの不足状態にある患児は、体内に凝固因子が不足しており、なおかつ体内できちんと凝固反応を起こす(=凝固活性の高い)凝固因子は作られていきません。
    そこで、問題意図の観点から見てみます。
    患児は確かにビタミンK欠乏状態です。普通なら「じゃあKを補充して」と考えたいところですが、選択するとき考慮することが2点あります。
    ・ぐったりなどの記載=だいぶバイタルが良くない→救命のために優先度の変わる処置がありそう。
    ・このVitK不足状態は、VitKの補充で解決するか?→二次性か、一次性か?
    結論から言うと、今回はVitKよりも凝固因子補充を優先すべき二次性のVitK欠乏状態であるとなります。
    (詳しくは問題解説や授業動画をご参照ください)
    穂澄先生の例えをお借りするなら、「体内で火薬を実弾にできない状態はあるけれど、それより今全身状態が悪い!だから、”直ちに”と聞かれたら実弾として凝固因子を補充するのが優先!」という感じかと思いました。

    また、ご質問の「この状況で~」に対してだけ答えるなら、私は「VitKが必要であると判断されたら速やかに投与するケースである」と解釈しました。
    この状況へVitKを足すことにも一定の意味があると思いますが、いかんせんまず凝固因子補充して全身状態の改善に努めたいケースかと思いました。
    参考になれば幸いです。

    • サイトの紹介ありがとうございます。
      VitKは前駆体から凝固因子への変換に用いられるのですね。活性型になるために必要なのかと誤解しておりました。
      であれば凝固因子の補充で納得です。

      いくつか資料をみていると、「VitK欠乏を疑った時点でVitKを静注し、重症例や低出生体重児・肝胆道疾患の合併例で新鮮凍結血漿の併用を考慮する」という書き方のものがありました。
      VitK単体だと止血効果が発現するまでに数十分から数時間のtime lagを要すと書かれており、やはり本問のような状況では新鮮凍結血漿が堅いのかという印象を受けました。

      ご回答ありがとうございました。

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  • 問題参照 116D33

    2か月の女児。突然の意識障害のため救急車で搬入された。在胎40週、出生体重3,300gで出生した。出生後から母乳栄養で哺乳状態は良好であった。午後の哺乳が不良であったが、そのまま寝ていた。哺乳させようと抱いたところ、けいれんが起こり、ぐったりしたため母親が救急車を要請した。身長56cm、体重4.8kg。体温36.8℃。心拍数160/分、整。血圧90/52mmHg。呼吸数36/分。SpO2 98%(マスク5L/分 酸素投与下)。大泉門は膨隆している。対光反射は両側で遅延している。右肋骨弓下に肝を6cm触知する。血液所見:赤血球450万、Hb 9.5g/dL、Ht 36%、白血球10,800、血小板25万、PT-INR 4.2(基準0.9~1.1)、APTT 45.4秒(基準対照32.2)、血液生化学所見:総蛋白5.4g/dL、アルブミン3.3g/dL、総ビリルビン11.0mg/dL、直接ビリルビン6.8mg/dL、AST 130U/L、ALT 74U/L、ALP 203U/L(基準114~339U/L)、γ-GT 410U/L(基準8~50U/L)、血糖90mg/dL。CRP 0.1mg/dL。頭部CTを別に示す。

    直ちに行うべき処置はどれか。

    • a 鉄剤静注
    • b ビタミンK内服
    • c 生理食塩液点滴
    • d 新鮮凍結血漿投与
    • e 開頭による血腫除去
  • 関連トピック

    なし