問題文での外観とホルモン異常からturner症候群が明らかですが、「心エコー検査で大動脈基部に拡大を認めない」と最後に付け足しているのはなぜでしょうか。
大動脈基部拡大を疑うのはMarfan症候群で、turner症候群の心エコー検査で見られうるのは大動脈縮窄症だと思います。
なぜturner症候群の特徴ではなく、Marfan症候群の鑑別が書かれているのでしょうか。
気になったので調べてみたところUpToDate"Clinical manifestations and diagnosis of Turner syndrome"では、「Turner症候群では死亡原因として大動脈解離や破裂が認識されつつあり、そのリスクとして『上行大動脈の拡大(aortic size index (ASI) >2.0 cm/m2)』がある」のようなことが書かれています。
また、UpTodateの"Management of Turner syndrome"では、「妊娠中の大動脈解離や破裂のリスクは2%程度と高い。特に産褥でそのリスクは高く、American Society of Reproductive Medicine (ASRM)はTurner症候群の女性が妊娠を試みる前に医学的な評価(特に心血管系と腎機能)を受けることを推奨している。」のようなことを書いています。
Turner症候群の妊活の実際については調べられませんでしたが、大動脈基部拡大の有無を調べることに意義がないとは言えなさそうです。
ちなみにUpToDate"Clinical manifestations and diagnosis of Turner syndrome"では大動脈弓部の延長が40-50%、弁膜の異常(主に二尖弁)が15-30%、他の大動脈弓の異常(主に大動脈縮窄症)が7-18%となっています。エコー所見として二尖弁などは覚えておいてもいいかもしれません。
わざわざ調べてくださりありがとうございます。
Turner症候群にそのようなリスクがあるとは知りませんでした。
二尖弁も記憶しておきます。
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18歳の女子。これまでに一度も月経がないことを主訴に来院した。身長144cm、体重48kg。脈拍84/分、整。血圧110/76mmHg。首の両側の皮膚が広く、余っているように見える。上肢は肘から遠位が外反している。外陰は女性型。腹部超音波検査で子宮は小さく卵巣は確認できない。乳房はTanner I度。陰毛はTanner II度。血液生化学所見:LH 34mIU/mL(基準1.8〜7.6)、FSH 39mIU/mL(基準5.2〜14.4)、エストラジオール10pg/mL(基準25〜75)。心エコー検査で大動脈基部に拡大を認めない。
適切な治療はどれか。