講義ではPrader-Williは染色体の異常、Angelmanは遺伝子の異常と言ってましたが、どちらも同じ領域の異常でどちらの親からのみもらうかの違いはないのですか?
それで染色体の異常と遺伝の異常に分けられるのが納得できません、、、
よろしくお願いします。
Maaaatsuさん
両疾患とも染色体欠失、ないしゲノムインプリンティング異常などの遺伝子異常いずれの原因でも起こり得る疾患であり、遺伝子異常か染色体異常かで分類はできません。
臨床症状と染色体所見の双方から診断します。
本問は15番染色体長腕異常があること、臨床所見で哺乳傷害と停留精巣、矮小陰茎があり、これはPrader-Willi症候群で特徴的である、という2点から本疾患を診断する考えればよいかと思います。
Prader-Willi症候群は性腺機能障害、肥満
Angelman症候群は笑い発作、けいれん、重度の精神発達遅滞
あたりがキーワードかと思われます。
全く同じ疑問からここにたどり着き、たかぴーさんの回答に納得したので挙げます。
どちらの親かというのは質問者さんのゲノムインプリンティングの話なのだと思うので以下同様の疑問の参考になればと思い書きます。
ゲノムインプリンティングとはゲノムによって父親由来のものを発現するもの、母親由来のものを発現するものが存在する現象です。プラダーウィリー症候群では父親由来のものを発現するようになっている15番染色体上の遺伝子が欠失する事により発症する、ということですね。プラダーウィリーの母親から子供に遺伝することは理論上ない、というような認識でおります。
蛇足かとは思いますが、某書籍で調べました。
●Prader-Willi症候群とAngelman症候群は15qに欠失等を認める隣接遺伝子症候群で,インプリンティング異常症である.同じ遺伝子領域の異常だが,父親由来の遺伝子群が働きを失うとPrader-Willi症候群,母親由来の遺伝子群が働きを失うとAngelman症候群となる.
●Prader-Willi症候群で父性発現遺伝子の働きが失われるメカニズムは様々であり,微細欠失(70%),15番染色体母性片親性ダイソミー(20%),インプリンティング障害である刷りこみ変異(5%)がある.刷りこみ変異が原因の場合は遺伝カウンセリングが必要となる.また三大特徴として,外性器の低形成・筋緊張低下・色素低下がある.早期に診断されることが多い.生後すぐから哺乳障害に対する治療が必要であり,幼児期の食欲コントロール・成長ホルモン治療など,小児科領域においては重要疾患と考えられる.
●Angelman症候群では,妊娠・分娩経過は正常で大きな先天奇形を認めない.発育遅滞は生後6ヵ月頃より出現するが,Angelman症候群の典型的な徴候(笑い発作)は1歳以降に出現する.症状はてんかんと重度の発達遅滞(平均初歩5歳,有意語なし)であるため,正確な臨床診断まで数年を要することもある.
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日齢12の新生児。呼吸障害のためNICUに入院中である。在胎37週、出生体重2,386g、身長47cmで帝王切開で出生した。筋緊張低下、色白な皮膚、矮小陰茎と停留精巣があり、哺乳障害を認める。FISH法にて15番染色体長腕に微細欠失を認める。
最も考えられるのはどれか。