お世話になっております。
肺癌診療ガイドライン 2018年版において『喀痰細胞診は,非侵襲的で簡便に行える肺門部早期肺癌の唯一のスクリーニング法である。』とあり、
解説の記述の「喀痰細胞診は手間がかかるため検診(スクリーニング)には向かない。」とは合致しないように感じ疑問に思い質問させていただきました。
肺癌診療ガイドライン 2018年版において『ハイリスク群(50歳以上で喫煙指数が600以上)を対象とした肺門部肺癌の検出においては重要』と記述があることから
喫煙歴があるだけではスクリーニングの対象にならないという認識でよろしいでしょうか?
以下、肺癌診療ガイドライン 2018年版のリンクです。
https://www.haigan.gr.jp/guideline/2018/1/1/180101010100.html
基本的にその認識でいいと思います。
理由としては、単純に事前確率が低すぎるからだと思います。成人男性の20%が喫煙者ですが、成人男性のうち、5人に1人が肺がんになる訳ではないですよね?(勿論単純な数の比較では論じれないことに留意してください。)
どんなに良い検査でも事前確率が高くないと、効率も良くないし、偽陽性の数も増えます。特に細胞診のような手間のかかる検査なら、限られたリソースを効率よく運用しなくてはなりません。
がん検診の場合、スクリーニングで何でもかんでもすればいいってもんでもなくて、きちんと「スクリーニングしたことによるアウトカム」(例えば癌の罹患率や5年生存率がスクリーニングすることで上がった、のようなこと)の評価が必要です。
例えば子宮頚がんの場合は罹患率や死亡減少効果が認められていることから、今のような子宮頸がん検診で細胞診によるスクリーニングの形がとられています。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0729/index.html
回答ありがとうございます。
文献で正確な数字として確認したわけではないのですが、ガイドラインに書いてある以上、
喀痰細胞診によるスクリーニングは事前確率が高い集団に対して行わないとアウトカムが得られないんでしょうね。
また、確かに肺癌とは違って子宮頸がんはスクリーニングに細胞診がまず適応となるんでしたね。
癌腫によってスクリーニングに用いる検査方法の有用度が異なることを非常に興味深く感じました。
丁寧な解説ありがとうございました。
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喫煙について誤っているのはどれか。