解決済 111G58 06.呼吸器

急性心不全のクリニカルシナリオの使い方

本症例の診断は急性心不全で収縮期血圧が112mmHgと100以上で急性心不全のCS2に該当すると思うのですが、考えるべき治療薬は硝酸薬と利尿薬、NPPVのはずなのに、一つ目の解答のフロセミドはわかるのですが、2つ目の答えが、なぜCS3の治療薬である血管収縮薬(ノルアドレナリン)ではなく、同じCS3の治療薬である強心薬(ドブタミン)なのですか?

たしかに、穂澄先生の解説では、「ノルアドレナリンは左室の後負荷が上昇するので危険」とかかれていますが、では急性心不全のCS3の治療薬としてノルアドレナリンはどんなときに使われるのでしょうか?

ご教授いただけたら幸いです。

回答2件

  • こんにちは。
    本症例では大量補液により体液貯留が顕著ですので、第1選択薬はフロセミドです。また、収縮力もEF35%と低下しており、収縮の補助も必要と考えますので、ドブタミンを併用します。
    さて、ご質問のノルアドレナリンですが、こちらは簡単に言うと末梢血管をしめて血圧を上げる薬剤になります。CS3で、どうしても血圧が上がらず、心不全がよくならない場合に検討します(心不全の治療では最後の方まで登場しないと思って頂けたらと思います)。本症例ではまだ収縮期血圧が100以上に保たれていますので、ノルアドレナリンではなく、収縮力を補助する効果の強いドブタミンを選択します。ドブタミンはそこまで血圧をあげませんが、しっかり心収縮を補助しますので、CS3ではメインで使用されます。
    お答えになっていれば幸いです。

  • わかりやすく、ご丁寧なご説明ありがとうございます。
    急性心不全のクリニカルシナリオと治療薬を短絡的に記憶していました。
    症例の病態をに考えつつ、その上でクリニカルシナリオの治療薬を照らし合わせて考えていく方がいいみたいですね。

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  • 問題参照 111G58

    75歳の女性。交通外傷による肝損傷の緊急手術後で2日前からICUに入院中である。術前、術中に一時的に大量の輸液と輸血が行われた。術後はICUに入室して人工呼吸管理を受けていたが、気管からピンク色泡沫状の分泌物が吸引されるようになった。心拍数110/分、整。血圧112/64mmHg。中心静脈圧16mmHg。頸静脈の怒張を認め、両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。動脈血ガス分析(FIO2 0.6):pH 7.35、PaCO2 40Torr、PaO2 70Torr、HCO3- 23mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比75%、両肺野に浸潤影を認める。心エコーで左室駆出率35%。

    この時点で考えるべき治療薬はどれか。2つ選べ

    • a ドブタミン
    • b フロセミド
    • c ジルチアゼム
    • d ノルアドレナリン
    • e プロプラノロール
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