118F38

82歳の女性。数日前からの呼吸困難を主訴に来院した。肺結核後遺症による慢性呼吸不全で在宅酸素療法(鼻カニューラ0.5L/分)を受けており、3週間前の定期受診時はSpO2 92%(鼻カニューラ0.5L/分 酸素投与下)であった。発熱はなく少量の痰がある。意識は清明。体温36.2℃。脈拍96/分、整。血圧130/88mmHg。呼吸数24/分。SpO2 86%(鼻カニューラ0.5L/分 酸素投与下)。呼吸音は両側でcoarse cracklesを聴取する。下腿浮腫を認める。動脈血ガス分析(鼻カニューラ0.5L/分 酸素投与下)はpH 7.32、PaCO2 60Torr、PaO2 55Torr、HCO3- 30mEq/Lであった。
次に行うべき治療はどれか。
気管挿管
非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉
短時間作用性β2刺激薬吸入
グルココルチコイド点滴静注
リザーバー付マスク10L/分酸素投与

解答: b

118F38の解説

【ポイント】
肺結核後遺症による慢性呼吸不全のある患者に、数日前から呼吸困難が出現している。coarse crackles聴取や下腿浮腫といった情報から、心不全に至っており、これにより病態が増悪したものと思われる。動脈血ガス分析におけるPaCO2 60Torr、PaO2 55TorrからはII型呼吸不全と言え、代謝性代償によりHCO3-が30mEq/Lと上昇している。鼻カニューラ0.5L/分の酸素投与下でもSpO2 86%と低値であるため、人工呼吸の導入を考える。

【選択肢考察】
a NPPVが奏功しない場合に考慮する。
b 正しい。意識は清明であり、自発呼吸が残っている。ゆえにまずはNPPVを行う。
c COPDの急性増悪などに有効。
d COPDの急性増悪などに有効。
e CO2ナルコーシスのリスクとなるため、★禁忌★。

正答率:95%

テーマ:2型呼吸不全に行うべき治療

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