118E49

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
42歳の男性。右足関節痛を主訴に来院した。
現病歴:昨夕から右足関節の違和感を自覚し、深夜に同部の痛みと腫れが出現した。今朝から急激に悪化し歩行困難となったため救急外来を受診した。2年前から母趾の基部に疼痛を伴う腫脹が出現しては数日で寛解することを繰り返している。
既往歴:3年前から高血圧症と糖尿病で自宅近くの診療所へ通院している。
生活歴:喫煙は20歳から30歳まで20本/日。飲酒はビール500mL/日。
家族歴:妹が関節リウマチ。
現 症:身長160cm、体重76kg。体温37.2℃。脈拍92/分、整。血圧160/88mmHg。呼吸数16/分。頭頸部に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮疹を認めない。右足関節は明らかに腫脹し、著明な圧痛と熱感を認め、痛みのため動かせない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体1+、潜血(-)。血液所見:赤血球472万、Hb 14.0g/dL、Ht 43%、白血球12,300、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、AST 48U/L、ALT 62U/L、LD 246U/L(基準124〜222)、γ-GT 120U/L(基準13〜64)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸7.9mg/dL、血糖328mg/dL、HbA1c 9.2%(基準4.9〜6.0)。CRP 10mg/dL。右足関節の関節穿刺を実施したところ、関節液の外観は黄色混濁を呈しGram染色では菌体を認めないが、白血球による針状結晶の貪食像を認める。
診断はどれか。
痛風
偽痛風
脊椎関節炎
関節リウマチ
変形性関節症

解答: a

118E49の解説

【ポイント】
「2年前から母趾の基部に疼痛を伴う腫脹が出現しては数日で寛解することを繰り返している」とのことで、今回も痛風発作を考えたい。尿酸値が7.9mg/dLと上昇していることや、関節液の所見(黄色混濁で白血球による針状結晶の貪食像あり)も矛盾しない。血糖328mg/dL、HbA1c 9.2%と糖尿病の診断もつくことを確認しておこう(2問目で必要になる)。

【選択肢考察】
a 正しい。上記の通り。
b 好発は膝関節である。高尿酸血症や針状結晶といった所見も合致しない。
c 本患者でみられているのは足関節痛であり、脊椎の症状は記載がない。
d 症状が出現しては数日で寛解する、といった経過はとらない。慢性進行性の病態である。また、足関節以外の障害もみられるはずだ。
e 症状が出現しては数日で寛解する、といった経過はとらない。白血球数やCRP上昇といった炎症所見も認めない。

正答率:97%

テーマ:痛風の診断

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