118D73

52歳の男性。両足底の痛みを主訴に来院した。5年前に2型糖尿病と診断されたがそのままにしていた。3か月前から自宅近くの診療所でスルホニル尿素薬を内服している。1か月前から足底に針で刺すような痛みを入眠時に自覚し、睡眠が十分とれなくなっている。職業は会社員。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。化学物質の曝露歴はない。意識は清明。身長176cm、体重56kg。体温36.3℃。脈拍82/分、整。血圧128/78mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖+、ケトン体(-)。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、空腹時血糖162mg/dL、HbA1c 7.8%(基準4.9~6.0)。
この患者に認められる可能性の高い所見はどれか。2つ選べ
両側握力低下
両側腓腹筋萎縮
両側下肢振動覚低下
両側アキレス腱反射消失
両側上腕二頭筋腱反射消失

解答: c,d

118D73の解説

【ポイント】
2型糖尿病と診断されている中年男性にみられた、両足底の針で刺すような痛み。スルホニル尿素薬を内服中とのことだが、空腹時血糖162mg/dL、HbA1c 7.8%とコントロールは不良のようだ。糖尿病性ニューロパチーが考えやすい。本問が難しいのは、選択肢のいずれも可能性はありうる、という点だ。ゆえに頻度が高いTop 2を選出せねばならない。一般に糖尿病による神経障害では感覚神経と自律神経が障害されやすい(末期には運動神経も障害されうる)。ゆえに「両側下肢振動覚低下」は紛れもなく正解。もう1つを選ばねばならないが、これらはすべて運動系の選択肢なので少し悩ましい。ゆえに病棟実習や国試過去問などで見たことがありそうなものを選んでいくしかない。本稿執筆時点の過去5年分の国試過去問で言えば、113A59 、 114A29 、 114E47 、 116D62 、 117F41 、 118D46 、 118F46 などで「両側アキレス腱反射の消失(ないし低下)」の記載がある(平均して1年に1問以上出ている)。これがもう1つの正解だ。とはいえ、蓋を開けてみると正答率は93%とかなり高め。あまり深く考えずとも、イメージが湧きやすい問題だったのかもしれない。

正答率:93%

テーマ:糖尿病性ニューロパチーの症候

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