118D58

63歳の男性。下痢を主訴に来院した。50歳時から飲酒後に上腹部痛と背部痛を繰り返すため自宅近くの診療所に通院し、禁酒指導を受けていた。55歳から通院を中断していた。半年前から1日8回の下痢が持続するため8年ぶりに受診した。飲酒は日本酒5合/日を43年間。身長168cm、体重45kg。胸部と腹部とに異常を認めない。血液所見:赤血球402万、Hb 12.1g/dL、Ht 40%、白血球4,200、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.5g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 17U/L、ALT 28U/L、LD 199U/L(基準124〜222)、ALP 43U/L(基準38〜113)、アミラーゼ40U/L(基準44〜132)、血糖96mg/dL、HbA1c 6.2%(基準4.9〜6.0)、CA19-9 36U/L(基準37以下)。腹部超音波検査で膵臓にびまん性の石灰化を認めたが、腫瘤は指摘されなかった。
この患者にみられるのはどれか。
黒色便
脂肪便
粘血便
灰白色便
兎糞状便

解答: b

118D58の解説

【ポイント】
「飲酒後に繰り返す上腹部痛と背部痛」「膵臓にびまん性の石灰化」は慢性膵炎のキーワード。アミラーゼが低下しており、すでに膵酵素は枯渇傾向にあるものと推測される。それゆえ、食物の消化が滞り、下痢をきたしているのだろう。

【選択肢考察】
a 黒色便は上部消化管出血にてみられる。
b 正しい。慢性膵炎では脂肪吸収が不良となり、脂肪便をみる。
c 粘血便は潰瘍性大腸炎〈UC〉やアメーバ赤痢感染にてみられる。
d 灰白色便は閉塞性黄疸にてみられる。
e 兎糞状便は過敏性腸症候群にてみられる。

正答率:99%

テーマ:慢性膵炎患者にみられる便

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし