118C47

76歳の男性。右胸痛を主訴に来院した。1か月前から右前胸部痛を自覚し、8日前から右顔面および右上肢の腫脹を伴うようになった。意識は清明。身長159cm、体重52kg。体温35.9℃。脈拍96/分、整。血圧138/78mmHg。呼吸数20/分。SpO2 95%(room air)。視診と触診とで右胸部から頸部および上肢にかけて浮腫と腫脹とを認める。血液生化学所見:CEA 75ng/mL(基準5以下)。胸部エックス線写真で右上肺野縦隔側に腫瘤を認めた。胸腹部造影CTで腫瘍による上大静脈の圧排、肝転移と左副腎転移を認めた。肺癌と診断され、右上肺野縦隔側腫瘤への放射線治療を行うこととした。
この患者に対する放射線治療で期待される効果はどれか。
根治
症状の緩和
遠隔転移の縮小
殺細胞性薬の作用増強
PD-L1蛋白質発現減弱

解答: b

118C47の解説

【ポイント】
肺癌による上大静脈の圧排(上大静脈症候群)と肝・左副腎転移の診断はついている(遠隔転移があるため病期IV)。この状況下における右上肺野縦隔側腫瘤への放射線治療で期待される効果を考えよう。

【選択肢考察】
a 他臓器への遠隔転移があり、根治は見込めない。
b 正しい。胸痛や上大静脈症候群による浮腫・腫脹といった症状の緩和が期待できる。
c 「右上肺野縦隔側腫瘤への放射線治療」とわざわざ断り書きがある。遠隔転移巣へ放射線照射を行うわけではない。
d 殺細胞性薬と放射線との併用が有効なのは病期IIIである。
e 放射線照射により、がん細胞のPD-L1蛋白質が発現亢進することが知られている。

正答率:97%

テーマ:多発転移をみる肺癌に対する放射線治療で期待できる効果

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