118A19

20歳の男性。胸部不快感と呼吸困難を主訴に来院した。これまでに何度か胸部不快感を自覚したが、医療機関を受診していなかった。昨日から呼吸困難が出現し、持続しているため受診した。既往歴に特記すべきことはない。家族歴は父親が20歳台で脳静脈洞血栓症を発症。意識は清明。体温36.2℃。脈拍96/分、整。血圧104/68mmHg。呼吸数24/分。SpO2 94%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に軽度の浮腫を認める。血液所見:赤血球450万、Hb 14.5g/dL、Ht 42%、白血球6,200(好中球62%、好酸球1%、単球5%、リンパ球32%)、血小板22万、PT-INR 1.0(基準0.9〜1.1)、活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉30秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン288mg/dL(基準186〜355)、Dダイマー10μg/mL(基準1.0 以下)。血液生化学所見:総ビリルビン1.1mg/dL、LD 208U/L(基準124〜222)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL。CRP 0.3mg/dL。胸部エックス線写真で異常を認めない。
直ちに行う検査で適切なのはどれか。
気管支鏡検査
呼吸機能検査
頸部超音波検査
胸部〜下肢造影CT
足関節上腕血圧比〈ABI〉

解答: d

118A19の解説

【ポイント】
Dダイマーが高値であることから、血栓症を考える。胸部不快感と呼吸困難がみられており、肺血栓塞栓症が疑われる。父親が20歳台で脳静脈洞血栓症を発症した、とのことで遺伝的に本患者にも血栓素因があった可能性が高い。

【選択肢考察】
a 気管内病変ではないため、無効。
b 呼吸困難がみられる患者には実施困難。
c 頸動脈の狭窄を疑った場合などに実施する。
d 正しい。胸部~下肢造影CTにて血栓の描出を図る。
e 閉塞性動脈硬化症〈ASO〉などに有効。

正答率:97%

テーマ:深部静脈血栓〈DVT〉・肺血栓塞栓症に直ちに行う検査

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