118A15

3歳の男児。発熱と下肢痛を主訴に両親に連れられて来院した。1か月前に左足をひねって疼痛を自覚した。その後右下肢の疼痛も訴えるようになった。2週間前に38℃台の発熱が出現し、両下肢の疼痛も増強した。かかりつけ医を受診して抗菌薬を内服したが、発熱が持続している。身長103cm、体重17kg。体温37.5℃。脈拍128/分、整。血圧106/70mmHg。両側下腿に紫斑を数個認める。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に異常を認めない。咽頭に発赤を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。表在リンパ節を触知しない。下肢に関節腫脹や可動域制限を認めない。血液所見:赤血球298万、Hb 7.2g/dL、Ht 23%、網赤血球1.8%、白血球15,400(桿状核好中球3%、分葉核好中球8%、好酸球1%、単球4%、リンパ球84%)、血小板2.0万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン4.4g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dL、AST 45U/L、ALT 19U/L、LD 520U/L(基準190〜365)、ALP 180U/L(基準115〜359)、CK 60U/L(基準43〜270)、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、尿酸6.2mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 101mEq/L、Ca 11.0mg/dL、P 6.0mg/dL。CRP 1.2mg/dL。両下肢エックス線写真で異常を認めない。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。
可能性が高い疾患はどれか。
骨髄炎
骨肉腫
急性白血病
再生不良性貧血
血球貪食性リンパ組織球症

解答: c

118A15の解説

【ポイント】
骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本では顆粒に乏しく、細胞質の少ない、均一な芽球がみられる。白血球15,400(リンパ球84%)、血小板2.0万という記載から、急性リンパ性白血病を考える。

【選択肢考察】
a 骨髄炎であれば、エックス線写真にて異常が予想される。
b 骨肉腫であれば、エックス線写真にて異常が予想される。
c 正しい。上記の通り。
d 再生不良性貧血では汎血球減少をみる。また、骨髄血塗抹標本では脂肪髄をみる。
e 血球貪食性リンパ組織球症とは組織球が増殖する疾患の総称である。脾腫や高トリグリセライド血症・低フィブリノゲン血症、骨髄血塗抹標本における血球貪食像、高フェリチン血症といった診断基準項目を満たしておらず(ないし記載がないため)、否定的。

正答率:95%

テーマ:急性白血病の診断

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