117F62

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
75歳の男性。労作時の呼吸困難を主訴に来院した。
現病歴:数年前から労作時の息切れがあったが、約1年前から階段や坂道は途中で休まないと昇れなくなった。1週間前から呼吸困難と膿性痰が出現し、改善しないため受診した。
既往歴:60歳時より高血圧症。
生活歴:喫煙は25歳から現在まで40本/日を50年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:母が気管支喘息。
現 症:意識は清明。身長163cm、体重65kg。体温36.6℃。脈拍92/分、整。血圧142/56mmHg。呼吸数24/分。SpO2 90%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。胸鎖乳突筋の肥大を認める。心音に異常を認めない。呼吸音は喘鳴が聴取され、全体的に呼吸音が減弱している。
検査所見:血液所見:赤血球460万、Hb 13.7g/dL、Ht 42%、白血球9,400(好中球59.7%、好酸球12.3%、好塩基球0.4%、単球6.7%、リンパ球20.9%)、血小板22万。血液生化学所見:総ビリルビン0.9mg/dL、AST 24U/L、ALT 16U/L、LD 220U/L(基準120~245)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 54Torr、PaO2 56Torr、HCO3- 33.1mEq/L。
この患者で正しいのはどれか。
II型呼吸不全
呼気時間短縮
吸気性呼吸困難
PaO2/FIO2<200
呼吸性アルカローシス

解答: a

117F62の解説

【プロセス】
①75歳の男性
②数年前から労作時の息切れ
③1週間前から呼吸困難と膿性痰が出現
④喫煙は25歳から現在まで40本/日を50年間
⑤SpO2 90%(room air)
⑥胸鎖乳突筋の肥大を認める
⑦呼吸音は喘鳴が聴取
⑧全体的に呼吸音が減弱
⑨PaCO2 54Torr
⑩PaO2 56Torr
⑪HCO3- 33.1mEq/L
☞①②④⑥⑧より慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の背景がある。③⑤⑦⑩よりCOPDの急性増悪を考えたい。⑨⑪より呼吸性アシドーシスの代謝性代償がみられている。

【選択肢考察】
a 正しい。⑨⑩よりII型呼吸不全(PaO2<60TorrかつPaCO2>45Torr)の定義を満たす。
b COPDでは呼気時間が延長する。
c COPDは閉塞性障害を呈するため、呼気性呼吸困難をみる。
d PaO2には⑩を、FIO2はroom airなので21%、すなわち0.21を代入する。56÷0.21=266.66....>200である。
e 冒頭で示した通り、呼吸性アシドーシスを呈している。

正答率:93%

テーマ:【長文1/3】COPD急性増悪で予想される所見

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし