117F60

その後、直ちに胸骨圧迫およびバッグバルブマスク換気を開始し、静脈路確保を行った。アドレナリンを静脈投与した後に、自己心拍が再開し、心拍数90/分、整。血圧126/72mmHgとなった。自発呼吸は認めなかったため気管挿管を行い集中治療室へ入院となった。意識レベルはJCS III-300からJCS III-100となった。SpO2 は98%(吸入酸素濃度60%)であった。自発呼吸は回復しなかった。入院後に撮影した頭部単純CTを別に示す。
行うべき治療で誤っているのはどれか。
血圧管理
人工呼吸
体温管理療法
緊急ペーシング
高浸透圧利尿薬投与

解答: d

117F60の解説

【プロセス】
①アドレナリンを静脈投与し、自己心拍再開
②気管挿管を行い集中治療室へ入院
③意識レベルはJCS III-300からJCS III-100
④自発呼吸は回復しなかった
⑤入院後に撮影した頭部単純CTにてくも膜下出血〈SAH〉
☞①で自己心拍再開した点、③で意識レベルが改善傾向にある点は喜ばしいことだが、②④より予断を許さない状況だ。⑤の画像ではSAHの他、脳溝の減少があり、頭蓋内圧亢進が読み取れる。前問(すなわちアドレナリン投与前)にて血圧高値かつ心拍数低値(Cushing現象)がみられていることと合わせ、脳ヘルニアの存在が疑われる。

【選択肢考察】
a 現状の血圧は126/72mmHgと問題ないが、SAH急性期には変動が大きい傾向にある。血圧管理は重要だ。
b ③④より、人工呼吸が必要と考えられる。
c 心拍再開〈ROSC〉後に高体温を呈する患者の転帰は不良とされる。そのため、臓器保護の観点から一定時間、体温管理療法を行うことが推奨されている。
d 誤り。現状の心拍数は90/分であり、緊急ペーシングは必要ない。
e ⑤からは脳浮腫によると思われる頭蓋内圧亢進が読み取れ、高浸透圧利尿薬の投与を行う。

正答率:94%

テーマ:【長文2/3】自発呼吸を認めないくも膜下出血〈SAH〉患者に行うべき治療

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