117C36

35歳の男性。仕事中に、作業で使用していた液体の化学物質を全身に浴び、事故から2時間後に来院した。2年前に入職し、配置転換で2週間前から現在の作業を始めたばかりだった。作業内容や使用していた化学物質の詳細については詳しくない。化学物質を浴びた後、すぐに緊急用のシャワーを浴び洗眼したという。意識は清明。身長171cm、体重65kg。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧136/82mmHg。呼吸数17/分。眼瞼結膜、眼球結膜に充血を認める。顔面の皮膚に発赤を認める。
この患者の治療方針を決定するため、患者の勤務先に照会するものとして有用でないのはどれか。なお、患者の同意は得ているものとする。
直近のストレスチェックの結果
直近の定期健康診断の結果
直近の特殊健康診断の結果
安全データシート
曝露時の作業内容

解答: a

117C36の解説

【プロセス】
①仕事中に、作業で使用していた液体の化学物質を全身に浴びた
②作業内容や使用していた化学物質の詳細については詳しくない
③眼瞼結膜、眼球結膜に充血・顔面の皮膚に発赤
☞③だけから詳細を断ずることはできないが、油断ならない状況とも言えよう。①で浴びた化学物質の詳細を知りたいところだが、②より詳細不明である。対症療法と併行し、まずは原因物質を特定したい。

【選択肢考察】
a 誤り。ストレスチェックは精神心理面を評価するメンタルヘルスに関するものであり、化学物質曝露とは関係ない。むろん、「実はメンタルが不調だったので、仕事に支障が及び、手元が狂ったのでは?」のように邪推することはできるのだが、それは国試ではやってはいけない思考である。
b 直近の定期健康診断の結果と現在のデータを比べることで変化を追うことができる。
c 直近の特殊健康診断の結果と現在のデータを比べることで変化を追うことができる。
d 安全データシート〈SDS〉とは、化学物質等の危険性や有害性・取り扱いに関する情報を譲渡/提供先に示す文書である。すなわち、これを照会することで、その勤務先でどのような物質が取り扱われていたかが分かる。原因物質の特定につながるため、有益である。
e 曝露時の作業内容を職場の管理者や同僚に尋ねることで、取り扱われていた化学物質の種別、およびその対処法なども分かる可能性が高い。

正答率:81%

テーマ:化学物質に曝露された労働者の治療方針決定のため勤務先に照会する内容

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