講義
検索
演習
フォーラム
ログイン
117C20
自作問題セットに追加する
×
この問題を追加できる問題セットがありません。
(※注: 既に登録されている問題セットは表示されません)
国際生活機能分類〈ICF〉について正しいのはどれか。
a
障害者を対象とした分類である。
b
参加制約は生活環境に起因する。
c
障害程度を基準にした分類である。
d
機能障害のために活動制限が生じる。
e
参加制約と社会的不利は同義語である。
解答: b
117C20の解説
自作問題セットに追加する
×
この問題を追加できる問題セットがありません。
(※注: 既に登録されている問題セットは表示されません)
【プロセス】
まさかの正答率14%。歴史的にみてもICFの出題はその曖昧さから悪問となることが多く、この問題は特に日本語の解釈により正答を導くのが難しい。正解しても誤答しても、あまり気にしない方がよいだろう。一言で言えば捨て問である。
【選択肢考察】
a すべての人を対象とした分類である。明らかな誤答肢であり、選択者は2%程度。
b 正しい。「生活環境」という用語はICFには用いられておらず、おそらくは背景因子の1つである「環境因子」に言及していると思われる。環境因子のわかりやすい具体例は「車椅子の故障」である。これにより例えば会社への出社が困難になったりするわけで、確かに「参加制約は生活環境に起因する」と言える。
c 障害程度のようなマイナス面からの分類ではなく、生活機能というプラス面を基準にした分類である。明らかな誤答肢であり、選択者は2%程度。
d △。執筆者(穂澄)は出題当時、これが正解と考えた。実際、この選択肢を選んだ者が約75%。機能障害の具体例として「足が不自由」という例を思い浮かべよう。するとこのために「歩行できない」という活動制限が生じる。機能障害のために活動制限が生じているではないか! が、無慈悲にも厚労省は誤答肢として処理した。正直、未だに個人的には納得できていないところである(せめて複数正答や採点除外判定が欲しかった)。思うに「のために」という日本語が出題者的にはバツだったのであろう。活動制限は機能障害以外でも起こりうる、と。たとえば過去問でも問われている、周囲の偏見(環境因子)。いじめられっ子は学校に行きたくなくなるものだ(参加制約)。学校に行かず引きこもってしまえば、たとえ機能障害が全く無い者でも部活動でスポーツをするといった活動に制限が出てくる(活動制限)。が、それを言ってしまえば正解選択肢の「に起因する」という日本語も多様な解釈ができよう。もはや国語の試験を受けているのか、医学の試験を受けているのか、わからなくなってきてしまった。こういう問題も稀にはある。が、こういうどうしようもない問題はすべて捨てても国試は余裕で合格できる。交通事故に遭ったようなものとして諦めよう。
e 2006年に生活機能分類専門委員会(社会保障審議会統計分科会)が公表している文章に「社会的不利と参加制約は同じ内容を示す」という記載がある。これに則ると本選択肢も正解になるため、厚労省が正答を公開する前の予想解答として本選択肢を正解と提示した予備校も存在した。が、常識的に考え、「すべての人を対象としたマイナスではなくプラス面を考慮する分類」において「不利」などという用語が容認されるはずはなかろう。顔も見たことがない人物が書いた、怪しげな文献を信頼してはいけない、という最たる例である。まぁ、そもそも試験本番の受験生はネット上であれこれ検索することもできないため、本選択肢を選んだ者は7%程度にとどまった。権威ある他者や文献からの助言に引っ張られることなく、最終判断をするのはあくまで自分自身であること、これを肝に銘じてほしい。
正答率:14%
テーマ:国際生活機能分類〈ICF〉について
前の問題へ
次の問題へ
フォーラムへ投稿
関連トピック
なし