117B43

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
38歳の男性。食欲不振、腰痛および背部痛を主訴に来院した。
現病歴:半年前から胸やけと食欲不振、腰痛を自覚していた。2か月前から背部痛と呼吸困難が出現し、自宅近くの診療所を受診した。上部消化管内視鏡検査で胃体部に進行胃癌を認め、精査と治療のため入院となった。腰痛はみられるが、ADLは自立し歩行可能である。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:妻と小学生の娘2人と4人暮らし。職業は会社員、営業職で外回りの仕事が多い。喫煙は20歳から20本/日だが、2週間前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長176cm、体重63kg。体温36.4℃。脈拍92/分、整。血圧120/64mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
検査所見:血液所見:赤血球390万、Hb 9.1g/dL、Ht 39%、白血球6,300、血小板26万。血液生化学所見:総蛋白5.0g/dL、アルブミン3.0g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 16U/L、ALT 18U/L、LD 184U/L(基準120~245)、ALP 200U/L(基準38~113)、クレアチニン1.0mg/dL、Na 141mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 101mEq/L、Ca 8.5mg/dL。胸部エックス線写真で両肺に散在する腫瘤を認めた。腹部CT及び腰椎MRIで第1腰椎と第3腰椎に転移性骨腫瘍を認めた。肝転移は認めなかった。
患者には病状が詳しく伝えられ、今後抗癌化学療法、放射線治療が計画された。患者から、「会社に迷惑をかけるので、仕事をやめようか悩んでいる。治療費もたくさんかかるし、小学生の娘2人を今後どうやって養っていったらよいかを考えると心配でしょうがない」と相談があった。
この患者への対応で誤っているのはどれか。
患者の病状理解を確認する。
職場への伝え方を助言する。
不安を軽減させるための支援を行う。
退職して治療に専念するよう伝える。
利用可能な支援制度の情報提供を行う。

解答: d

117B43の解説

【プロセス】
①38歳の男性
②進行胃癌と診断済
③患者から、「会社に迷惑をかけるので、仕事をやめようか悩んでいる。治療費もたくさんかかるし、小学生の娘2人を今後どうやって養っていったらよいかを考えると心配でしょうがない」と相談
☞②③を受け、選択肢を検討する。正答率はほぼ100%であり、問題はないだろう。なお、①は次の問題を解く際に必要となる。40歳未満であることを確認しておいてほしい。

【選択肢考察】
a 患者本人の病状理解は重要である。
b ③にて会社に関する言及があるため、職場への伝え方も助言できるとよい。
c 具体性に欠ける記載ではあるが、医療者として可能な限り支援を行いたいところだ。
d 誤り。退職したら、収入源が途絶えてしまう。闘病と仕事とを同時に進められるよう、サポートする必要がある。
e さまざまな支援制度が存在するも、どんな制度が存在し、どの制度が使えるのか、熟知している患者は少ない。こうした情報提供も重要な支援の1つと言えよう。

正答率:100%

テーマ:【長文1/2】悩んでいる患者への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし