117B41

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
28歳の男性。腹痛を主訴に来院した。
現病歴:昨日から臍部を中心とした腹痛が出現し、その後、悪心、食欲不振を伴うようになった。今朝になって痛みが右下腹部に移動し、悪化したため受診した。
既往歴:5歳時に右鼠径ヘルニアで手術。
生活歴:妻、子ども(3歳)と同居。公務員。喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴:父が58歳時に脳梗塞を発症。
現 症:意識は清明。身長176cm、体重68kg。体温37.0℃。脈拍88/分、整。血圧128/76mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、右下腹部に圧痛を認めるが反跳痛は認めない。四肢に異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球360万、Hb 12.1g/dL、Ht 38%、白血球10,200(好中球85%、好酸球1%、好塩基球1%、単球2%、リンパ球11%)、血小板28万。血液生化学所見:AST 16U/L、ALT 18U/L、LD 178U/L(基準120~245)、ALP 106U/L(基準38~113)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 2.6mg/dL。
急性虫垂炎の診断スコアは腹痛部位の移動(1点)、食欲不振(1点)、悪心・嘔吐(1点)、右下腹部の圧痛(2点)、反跳痛(1点)、発熱〔体温≧37.3℃〕(1点)、末梢血白血球数≧10,000(2点)、好中球≧75%(1点)の8項目からなり、合計点が0~4点で陽性尤度比1.0、5~6点で陽性尤度比1.6、7点以上で陽性尤度比3.0となる。
若年男性の急性の腹痛における急性虫垂炎の有病率が50%である場合、この患者における急性虫垂炎の確率はどれか。
0.41
0.5
0.62
0.75
0.9

解答: d

117B41の解説

【プロセス】
まずは表1の診断スコアを決定しよう。
 ・腹痛部位の移動(1/1点)
 ・食欲不振(1/1点)
 ・悪心・嘔吐(1/1点)
 ・右下腹部の圧痛(2/2点)
 ・反跳痛(0/1点)
 ・発熱〔体温≧37.3℃〕(0/1点)
 ・末梢血白血球数≧10,000(2/2点)
 ・好中球≧75%(1/1点)
上記より、合計8点。ゆえに表2と合わせ、陽性尤度比は3.0と分かる(①)。
本問で必要となる公式は「オッズ=起こる確率÷起こらない確率」(②)と「検査前オッズ×尤度比=検査後オッズ」(③)の2つである。
有病率が50%と与えられているため、②より検査前オッズは50÷(100−50)=1(④)。①③④より、検査後オッズ=1×3=3となる。今、求めるパーセンテージをXと置くと、再度②を用い、X÷(100−X)=3。これを解いて、X=300÷4=75が正解。

正答率:96%

テーマ:【長文1/2】検査後確率の算出(計算問題)

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