117B23

糸球体濾過量〈GFR〉について正しいのはどれか。
GFRの軽度低下で血清クレアチニン値は上昇する。
イヌリンクリアランスは正確なGFR評価に用いられる。
健常者において加齢によるGFR低下は80歳まで起こらない。
筋肉量が少ない場合はeGFRが実測GFRより低くなることが多い。
成人のeGFRは血清クレアチニン値、身長および年齢から計算される。

解答: b

117B23の解説

【選択肢考察】
a 血清クレアチニン値はGFRが軽度低下しただけでは上昇しないのがポイント。ゆえに初期の腎障害の検出時にクレアチニン値は参考にならないことがある点に注意。
b 正しい。クレアチニンと異なり、イヌリンはヒトの体内で分泌されない(植物で合成されたものを検査のために負荷する)。静脈内に投与されたイヌリンは血中で蛋白と結合することなく、糸球体で濾過され、また尿細管で再吸収されることも(もちろん分泌されることも)ない。そのため正確なGFR評価に適している。
c 健常者においても、中年期ころから加齢によるGFR低下がみられる。
d 筋肉量が少ない場合は血中のクレアチニンが低めである。そのため、eGFR(算出に年齢、性別、血中クレアチニン値を使用)は低い値となる。ゆえに実測GFRより低くなることが多い。......と考えて本選択肢を正しいと考えて失点した者が約2割。これをお読みの方はここまでに議論のどこが誤っているか説明できるだろうか? クレアチニン値が低い場合、腎機能は一般に良好と考えられる。そのため、eGFRは高い値となるのだ(GFRは高いほど腎機能が良い傾向)。よって、実測GFRより高くなることが多い。
e 成人のeGFRは血清クレアチニン値、性別および年齢から計算される。

正答率:68%

テーマ:糸球体濾過量〈GFR〉について

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