117A46

17歳の男子。頸部の違和感を主訴に来院した。部活動のサッカー中にボールで前胸部を強打し、その後しばらくして違和感を自覚した。生来健康である。意識は清明。体温36.4℃。脈拍80/分、整。血圧118/64mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。頸部に握雪感あり。肉眼上皮膚に異常を認めない。呼吸音に異常を認めない。胸部単純CT(A、B)を別に示す。
治療として適切なのはどれか。
入院安静
胸腔ドレナージ
縦隔ドレナージ
気管支拡張薬投与
副腎皮質ステロイド投与

解答: a

117A46の解説

【プロセス】
①部活動のサッカー中にボールで前胸部を強打
②その後しばらくして違和感
③頸部に握雪感
④胸部単純CT(A、B)にて縦隔内にair
☞①②から前胸部に物理的損傷を疑う。③からairのリークが予想できるが、④で縦隔気腫の確定となる。

【選択肢考察】
a 正しい。本来airが漏れてはいけない縦隔内にairがリークしてしまっている状況であり、入院安静となる。
b 胸腔ドレナージは気胸に有効。
c 縦隔ドレナージは縦隔膿瘍などに有効。約半数の受験生が本選択肢を選んでしまっていた。気持ちは非常によく分かる。画像上、リークしているairはわずかであり、縦隔ドレナージの侵襲や新たに発生しうる合併症等を考慮するに、本症例に対しては入院安静が第一選択となる。
d 物理的損傷によりairがリークしてしまっている状況である。喘息やCOPDによって気管が狭くなっている局面とは異なるため、薬剤によって気管支を拡張させても意味がない。
e 無効な投薬である。

正答率:51%

テーマ:縦隔気腫の治療

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし