117A15

62歳の女性。皮疹と発熱を主訴に来院した。7日前から感冒症状があり市販の総合感冒薬を内服している。前日から顔面と四肢体幹に紅斑が出現し、口内の痛みと発熱も出現した。体温38.5℃。顔面、四肢および体幹の広範囲の皮膚に紅斑、水疱およびびらんがみられる。水疱とびらんの範囲は体表面積の40%以上である。眼球結膜充血と口唇痂皮、口腔粘膜にもびらんがみられる。顔面と左上腕の写真(A、B)を別に示す。内服している総合感冒薬のリンパ球刺激試験358%(基準180未満)、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価10倍(基準10以下)で、3週間後の採血で、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価10倍であった。
最も考えられるのはどれか。
固定薬疹
多形滲出性紅斑
中毒性表皮壊死症
薬剤過敏症症候群
急性汎発性発疹性膿疱症

解答: c

117A15の解説

【プロセス】
①7日前から感冒症状があり市販の総合感冒薬を内服
②前日から顔面と四肢体幹に紅斑が出現
③口内の痛みと発熱
④水疱とびらんの範囲は体表面積の40%以上(2枚の画像で実際が提示されている)
⑤眼球結膜充血と口唇痂皮、口腔粘膜にもびらん
⑥内服している総合感冒薬のリンパ球刺激試験358%と高値
⑦抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価は基準値内
☞①⑥より薬疹を疑う。②③⑤より重症である。④からStevens-Johnson症候群〈SJS〉は否定され、中毒性表皮壊死症〈TEN〉の診断となる。

【選択肢考察】
a 固定薬疹であれば同一部位にのみ反復性に皮疹を生じる。
b 多形滲出性紅斑も薬剤で惹起されるうるが、今回はより適切な診断名が他の選択肢にあるため、正解とはならない。
c 正しい。上記の通り。
d ⑦より否定される。
e 疾患名の通り、膿疱が主体となるため、皮疹の性状が異なる。

正答率:92%

テーマ:中毒性表皮壊死症〈TEN〉の診断

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