116F61

搬入から30分が経過し、外傷の初期診療によってバイタルサインが安定した。右大腿骨骨折の整復固定と右大腿動脈の縫合処置を行い、止血が確認された。右大腿部に腫脹を認め、右下肢全体に広範囲の点状出血と運動麻痺を認める。右足背動脈の触知は良好である。左下肢に運動麻痺と知覚障害を認めない。尿道カテーテルから赤い尿の流出を認めた。

最も考えられる病態はどれか。

脊髄損傷
膝窩動脈損傷
引き抜き損傷
挫滅〈圧挫〉症候群
デグロービング損傷

解答: d

116F61の解説

【プロセス】
⑨崩落した機器に右下肢が挟まれた(1問目より)
⑩受傷から1時間で救出(1問目より)
⑪右大腿部に腫脹・右下肢全体に広範囲の点状出血と運動麻痺
⑫尿道カテーテルから赤い尿の流出
☞⑨⑩はクラッシュ症候群〈圧挫症候群〉〈挫滅症候群〉を彷彿とするエピソードである。実際、⑪より右下肢の損傷がみられている。⑫はミオグロビン尿であろう。

【選択肢考察】
a 脊髄の損傷であれば、一般的に両側性に症状がみられる。
b 「右足背動脈の触知は良好」とあり、それより中枢側での動脈損傷は考えにくい。
c 上腕が強く引っ張られたことで、脊髄から上腕神経の神経根が引き抜けるタイプの損傷。本症例では下肢が障害されている。また、引っ張られたような記載も見当たらない。
d 正しい。上記の通り。
e 回転ローラーやベルトに前腕や手を巻き込まれ、あるレベル以遠の皮膚が手袋を脱ぐように("デグローブ")全周性に剥脱される損傷。本症例とは異なる病態である。

正答率:99%

テーマ:【長文3/3】クラッシュ症候群〈圧挫症候群〉〈挫滅症候群〉の診断

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