116E47

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

21歳の女性。発熱と咽頭痛を主訴に来院した。
現病歴:2日前に咽頭痛と37℃台の発熱が出現し、昨晩は38.6℃であった。市販の解熱鎮痛薬を内服し、今朝は37.6℃に下がったが、咽頭痛は悪化している。鼻汁、咳、痰はない。嚥下時に咽頭痛は増悪するが、嚥下障害はない。同様の症状の患者との接触はない。
既往歴:3年前にA群β溶血性連鎖球菌(A群β溶連菌)性咽頭炎を発症。月経痛に対してアセトアミノフェンを頓用している。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。大学3年生で就職活動をしている。ペットは飼育していない。海外渡航歴はない。アレルギー歴はない。家族と同居している。最終月経は7日前から4日間で終了した。
家族歴:父は高血圧症。母と弟は健康。
現 症:意識は清明。身長156cm、体重52kg。体温38.2℃。脈拍96/分、整。血圧108/62mmHg。呼吸数20/分。四肢・体幹に皮疹を認めない。両側扁桃の発赤と腫大があり、表面に白苔を認める。両側の後頸部に最大径1cmの圧痛を伴うリンパ節腫大をそれぞれ3個認める。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を3cm、左肋骨弓下に脾を3cm触知する。肋骨脊柱角叩打痛は両側で認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球410万、Hb 11.6g/dL、Ht 39%、白血球17,400(好中球44%、好酸球1%、単球3%、リンパ球42%、異型リンパ球10%)、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.2g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 62U/L、ALT 94U/L、LD 785U/L(基準120~245)、ALP 100U/L(基準38~113)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。CRP 3.5mg/dL。
「発熱」「前頸部リンパ節腫大」「口蓋扁桃の白苔」「咳がない」の4項目について、A群β溶連菌性咽頭炎の事前確率は、該当項目数=0で2.5%、1で10%、2で17%、3で35%、4で52%である。

A群β溶連菌迅速抗原検査は陰性であった。A群β溶連菌迅速抗原検査の陽性尤度比30、陰性尤度比0.2とすると、この患者におけるA群β溶連菌性咽頭炎の事後確率はどれか。

10%
25%
40%
50%
75%

解答: a

116E47の解説

連問の1問目。公衆衛生的な計算問題である。本文で与えられた4項目につき、「前頸部リンパ節腫大」以外の3つが該当する(本患者にみられているのは後頸部リンパ節腫大なので該当しない)。ゆえに事前確率は35%(つまり検査前オッズは35/65)。「A群β溶連菌迅速抗原検査は陰性であった」とのことで、用いるのは陰性尤度比(0.2)。『尤度比=検査後オッズ÷検査前オッズ』の公式に代入し、0.2=検査後オッズ÷35/65。これを計算し、検査後オッズは14/130≒0.11。ゆえに事後確率=検査後オッズ÷(1+検査後オッズ)=0.11÷1.11≒0.1→10%。

正答率:85%

テーマ:【長文1/2】事後確率の算出(計算問題)

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし