116E45

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

68歳の男性。動悸を主訴に来院した。
現病歴:2日前の朝、起床時から動悸に気づいた。動悸は脈が飛ぶような感じで、胸痛、失神、息切れはない。様子を見ていたが動悸が続くため救急外来を受診した。半年前と2か月前にも同様の動悸発作があり、半日で自然に軽快した。
既往歴:15年前から高血圧症、糖尿病、脂質異常症で、かかりつけ医から降圧薬と血糖降下薬などを処方されている。整形外科医院から骨粗鬆症治療薬を処方されている。
アレルギー歴:特記すべきことはない。
生活歴:20代から1日20本喫煙していたが、15年前に禁煙した。飲酒は毎日泡盛を3~5合。妻と二人暮らし。
家族歴:兄は脳梗塞で死亡。
現 症:意識は清明。身長168cm、体重69kg。体温36.1℃。脈拍120/分、不整。血圧170/96mmHg。呼吸数14/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めず眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫大を認めない。脈拍は不整、心雑音は聴取しない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。神経診察で異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖2+、ケトン体(−)、潜血(−)、血液所見:赤血球523万、Hb 16.9g/dL、Ht 50%、白血球9,900、血小板16万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、AST 26U/L、ALT 19U/L、LD 218U/L(基準120~245)、ALP 71U/L(基準38~113)、γ-GT 132U/L(基準8~50)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、尿酸6.1mg/dL、血糖276mg/dL、HbA1c 7.8%(基準4.6~6.2)、総コレステロール203mg/dL、トリグリセリド279mg/dL、HDLコレステロール60mg/dL、LDLコレステロール87mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.7mEq/L、Cl 103mEq/L、TSH 1.6μU/mL(基準0.2~4.0)、FT4 1.1ng/dL(基準0.8~2.2)。心電図(A)と胸部エックス線写真正面像(B)と胸部エックス線写真側面像(C)とを別に示す。
経過観察したところ、自然に洞調律に戻った。心エコー図では心機能は正常で左房は軽度拡大し、弁膜症は認めなかった。心原性塞栓症のリスクをCHADS2スコア[心不全〈C〉=1点、高血圧(治療中も含む)〈H〉=1点、年齢(75歳以上)〈A〉=1点、糖尿病〈D〉=1点、脳卒中/TIAの既往〈S2〉=2点]で評価することにした。

この患者のCHADS2スコアはどれか。

1点
2点
3点
4点
5点

解答: b

116E45の解説

【プロセス】
①呼吸音に異常を認めない
②下肢に浮腫を認めない
③心エコー図では心機能は正常
④血圧170/96mmHg
⑤68歳の男性
⑥血糖276mg/dL、HbA1c 7.8%
⑦既往歴に脳卒中/TIAの記載なし
⑧心電図で不整・f波の存在(心房細動〈AF〉の所見)
⑨胸部エックス線写真にて心拡大や胸水貯留は認めない
☞与えられた情報から、素直にCHADS2スコアを算出する。①②より左心不全も右心不全も考えにくい。③⑨と合わせ、心不全〈C〉は0点。④より高血圧(治療中も含む)〈H〉は1点。⑤より年齢(75歳以上)〈A〉は0点。⑥より糖尿病〈D〉は1点。⑦より脳卒中/TIAの既往〈S2〉は0点。以上合わせ、CHADS2スコアは2点となる。

正答率:97%

テーマ:【長文1/2】CHADS2スコアの算出(計算問題)

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