116E41

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

83歳の男性。呼吸困難を主訴に救急外来を受診した。
現病歴:6年前から呼吸器疾患で入退院を繰り返しており、訪問診療と訪問看護を受けている。在宅酸素療法を受けている。昨日夜から呼吸困難が増悪し、様子を見たが改善しないため近所の人に連れられて来院した。
既往歴:26歳時に虫垂炎手術を受けている。
生活歴:一人暮らし。妻は3年前に死亡。二人の子供はいずれも県外在住。喫煙は20歳から20本/日を58年間。5年前に禁煙。
家族歴:父が80歳時に脳出血で死亡。
現 症:来院時、意識レベルはJCS I-1。呼吸困難のために会話が困難である。身長160cm、体重48kg。体温36.4℃。脈拍100/分、整。血圧124/72mmHg。呼吸数22/分。SpO2 88%(携帯用の酸素ボンベで鼻カニューラ1L/分)。じっとりと汗をかいている。呼吸音は減弱しており、呼気時に喘鳴を聴取する。口すぼめ呼吸を認め、胸鎖乳突筋が発達している。
検査所見:血液所見:赤血球452万、Hb 15.3g/dL、Ht 44%、白血球9,200。血液生化学所見:総蛋白6.4g/dL、アルブミン2.8g/dL、AST 36U/L、ALT 32U/L、LD 338U/L(基準120~245)、尿素窒素25mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102mEq/L。動脈血ガス分析(鼻カニューラ1L/分 酸素投与下):pH 7.33、PaCO2 56Torr、PaO2 58Torr、HCO3- 30mEq/L。
初期対応として酸素投与を開始することとした。

適切な酸素投与量はどれか。

鼻カニューラ2L/分
鼻カニューラ4L/分
鼻カニューラ6L/分
フェイスマスク6L/分
フェイスマスク10L/分

解答: a

116E41の解説

【プロセス】
①高齢男性
②6年前から呼吸器疾患
③在宅酸素療法を受けている
④昨日夜から呼吸困難が増悪
⑤喫煙は20歳から20本/日を58年間
⑥SpO2 88%(携帯用の酸素ボンベで鼻カニューラ1L/分)
⑦呼吸音は減弱しており、呼気時に喘鳴
⑧口すぼめ呼吸
⑨胸鎖乳突筋が発達
⑩PaCO2 56Torr
☞①③⑤⑦⑧⑨より、②は慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉と考えられる。④より、COPDの急性増悪が疑わしい。③のために所持していた携帯用の酸素ボンベを利用しているようだが、⑥をみるに酸素化は不十分。ゆえに設問文にあるように初期対応として酸素投与が必要となる。流量であるが、⑩より体内の二酸化炭素貯留があるため、高濃度酸素はCO2ナルコーシスのリスクとなる。ゆえに鼻カニューラ1L/分から微増させることとなる。よって、現時点では鼻カニューラ2L/分を選択する。

正答率:97%

テーマ:【長文1/2】COPD急性増悪の初期対応で適切な酸素投与量

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