116A17

6か月の男児。嘔吐を主訴に母親に連れられて来院した。寝返りをした際に約50cmの高さのベッドからフローリングの床に転落し、その後嘔吐と活気不良を認めた。新生児期に血友病Aと診断されている。同疾患の家族歴がある。身長70cm、体重9kg。体温36.8℃。心拍数120/分、整。血圧86/56mmHg。呼吸数32/分。SpO2 98%(room air)。活気不良。顔色不良。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。血液所見:赤血球320万、Hb 10.2g/dL、Ht 30%、白血球14,000、血小板25万、PT-INR 1.3(基準0.9~1.1)、APTT 98.3秒(基準対照37.1)、血漿フィブリノゲン150mg/dL(基準186~355)。血液生化学所見:総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.8g/dL、AST 30U/L、ALT 26U/L、LD 774U/L(基準120~245)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖120mg/dL。頭部単純CTを別に示す。

適切な初期対応はどれか。

赤血球輸血
自宅で経過観察
新鮮凍結血漿投与
凝固第IX因子製剤投与
凝固第VIII因子製剤投与

解答: e

116A17の解説

【プロセス】
①6か月の男児
②床に転落し、その後嘔吐と活気不良
③新生児期に血友病Aと診断
④APTT延長
⑤血漿フィブリノゲン軽度低下
⑥頭部単純CTにて頭蓋内出血あり
☞④は③で説明がつく。②にある転落により⑥をきたし、出血による消耗で⑤がみられているのだろう。

【選択肢考察】
a 赤血球320万、Hb 10.2g/dL、Ht 30%と比較的保たれており、緊急で輸血が必要な状況とは考えにくい。
b 頭蓋内出血があり、嘔吐と活気不良を認めている。急ぎ対応が必要な状況であり、自宅での経過観察は★禁忌★と言える。
c 凝固因子全般の補充を目的に行われる。血友病Aでは特定の凝固因子のみを補えばよいため、凝固因子全般を投与する必要はない。
d 血友病Bに使用される。
e 正しい。血友病Aで不足している凝固因子である。

正答率:60%

テーマ:脳出血をみる血友病Aの乳児への初期対応

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