115F49

32歳の女性。多発関節痛を主訴に受診した。半年前に両側手指、手関節および膝関節痛を自覚し、自宅近くの医療機関で関節リウマチと診断され、メトトレキサートの投与を受けた。効果が不十分のためメトトレキサートを漸増されたが、多発関節痛は持続した。最近になり仕事にも支障をきたすようになったため、専門の医療機関を受診するよう勧められ受診した。体温36.8℃、脈拍76/分、整。血圧128/82mmHg。両側手関節、両側示指、中指の中手指節関節および両側膝関節に腫脹と圧痛を認める。皮疹は認めない。血液所見:赤血球428万、Hb 12.7g/dL、Ht 38%、白血球7,900、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、IgG 1,230mg/dL(基準960~1,960)、AST 25U/L、ALT 28U/L、LD 225U/L(基準120〜245)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL。免疫血清学所見:CRP 5.2mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉132IU/mL(基準20未満)、抗CCP抗体112U/mL(基準4.5未満)、抗核抗体陰性。

治療方針として最も適切なのはどれか。

コルヒチンを投与する。
生物学的製剤を投与する。
ステロイドパルス療法を行う。
免疫グロブリン製剤を投与する。
半年間現在の治療で様子をみるよう勧める

解答: b

115F49の解説

【プロセス】
①関節リウマチの診断済
②メトトレキサート使用中&漸増
③多発関節痛は持続・仕事にも支障
④CRP 5.2mg/dL
③④より②が功を奏していないことは明白。治療薬を追加したい局面だ。

【選択肢考察】
a 痛風やBehçet病、家族性地中海熱に有効。
b 正しい。メトトレキサートに併用する形で追加する。
c メトトレキサートによる腎障害で継続治療が困難となったケースなど、関節リウマチの治療には副腎皮質ステロイドが有効なことがある。しかし本症例でメトトレキサートに追加する形で行う治療ではない。
d 免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉や重症筋無力症〈MG〉、川崎病に有効。
e ③を半年間放置することは患者本人のQOLを低下させることにつながり、不適切。

正答率:96%

テーマ:メトトレキサートの効果不十分な関節リウマチへの治療方針

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