115E8

出血性ショックによる意識障害のある患者が付き添いなく救急搬送され、緊急手術が必要であると判断された。患者は他院に通院歴があることが判明している。
医療者の行為として誤っているのはどれか。

術前に家族へ連絡を試みた。
院内で緊急手術の必要性について討議した。
通院歴のある医療機関へ診療情報の問い合わせをした。
治験参加への同意書が未取得の段階で治験用の降圧薬を使用した。
輸血開始時までに血液型が判明しなかったためO型Rh(−)の赤血球輸血を行った。

解答: d

115E8の解説

【ポイント】
患者は医療行為を受けるにあたり、自己決定権を行使することができる。しかし意識障害がある場合、これが困難となる。その場合、代諾者(家族のことが多い)が必要となる。代諾者の存在しない場合には各種プロトコルに基づき厳格に対応することとなる(医師一人ひとりが自己判断にて軽率な行動を起こすことがあってはならない)。むろん、そうした局面に出くわすことは稀であり、万が一にも遭遇したらすみやかに上級医に相談し、病院全体での意思決定へとつなげるべきだ。

【選択肢考察】
a 代諾者への連絡にあたる。
b 病院全体としての協議にあたる。
c 少しでも情報を集めるため、適切な行為と言える。
d 誤り。緊急時には同意なしに治験用の薬剤を使うことが許されるケースが極稀ながら定められている(興味ある者は『医薬品の臨床試験の実施の基準〈CGP〉』を参照)。ただ、この選択肢はそれ以前に論外である。なぜなら出血性ショックの患者に降圧薬を使用したら、さらに血圧が低下し、死へ至らしめてしまうかもしれないためだ。
e 輸血は本人の同意なしにも一般に行われる。血液型が不明な場合、最も合併症の可能性が低いO型Rh(−)が選択される。

正答率:99%

テーマ:出血性ショックで意識障害のある患者への医療者の行為

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