115C66

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
75歳の男性。腹痛を主訴に来院した。
現病歴:3週前から食思不振と倦怠感を自覚していた。2日前から上腹部の鈍痛が出現したため受診した。
既往歴:45歳から高血圧症と糖尿病で内服加療中である。血糖コントロールは良好であった。61歳時に早期胃癌の診断で幽門側胃切除(Billroth I法再建)術。
生活歴:妻と長男夫婦と4人暮らし。喫煙は20本/日を45年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長166cm、体重57kg。体温36.7℃。脈拍76/分、整。血圧134/86mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、手術痕を認める。圧痛のない腫大した胆嚢を触知する。肝・脾を触知しない。腸雑音に異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球411万、Hb 13.8g/dL、Ht 41%、白血球8,600、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.1g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン2.1mg/dL、直接ビリルビン1.3mg/dL、AST 328U/L、ALT 216U/L、LD 564U/L(基準120~245)、ALP 1,235U/L(基準115~359)、γ-GT 602U/L(基準8~50)、アミラーゼ101U/L(基準37~160)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、尿酸5.4mg/dL、血糖123mg/dL、HbA1c 7.0%(基準4.6~6.2)、総コレステロール196mg/dL、トリグリセリド110mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 99mEq/L、CEA 5.3ng/mL(基準5以下)、CA19-9 133U/mL(基準37以下)。CRP 1.5mg/dL。

この患者にみられるのはどれか。

Charcot三徴
Courvoisier徴候
Grey-Turner徴候
Murphy徴候
Reynolds五徴

解答: b

115C66の解説

【プロセス】
①高齢男性
②上腹部の鈍痛
③糖尿病の既往
④早期胃癌の既往
⑤喫煙歴
⑥圧痛のない腫大した胆嚢
⑦直接ビリルビンの上昇
⑧AST, ALT, ALP, γ-GT上昇
⑨CEA, CA19-9上昇
①④⑤⑨より悪性腫瘍を考える。②⑧から肝胆膵領域に絞られる。さらに⑥はCourvoisier徴候であり、⑦と合わせ下部胆道の癌に焦点を当てる。③からは膵癌が疑われ、総胆管を圧迫していることから膵頭部癌に絞られる。

【選択肢考察】
a 発熱と右季肋部痛、黄疸を合わせたもの。急性胆管炎でみられる。
b 正しい。上記の通り。
c 急性膵炎でみられる左側腹部の皮下出血。
d 右季肋部を圧迫しつつ息を吸うと痛みで呼吸が途中で止まる現象。急性胆嚢炎でみられる。
e Charcot三徴にショックと意識障害を加えたもの。急性胆管炎でみられる。

正答率:97%

テーマ:【長文1/3】無痛性の胆嚢腫大を触れる徴候

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