115C45

38歳の男性。易疲労感を主訴に来院した。2年前に転職してから外食と飲酒量が増え、体重が10kg増加している。最近になり易疲労感が出現したため受診した。身長172cm、体重84kg。血圧146/88mmHg。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体(−)。血液生化学所見:総蛋白8.0g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 32U/L、ALT 48U/L、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、食後2時間血糖252mg/dL、HbA1c 8.2%(基準4.6~6.2)、総コレステロール248mg/dL、トリグリセリド252mg/dL。

患者への説明として適切なのはどれか。

「血圧が高いので運動は控えましょう」
「体重を毎朝測定して減量を目指しましょう」
「空腹時の採血でないと糖尿病と診断できません」
「糖質を含まないアルコール飲料は問題ありません」
「1日の摂取エネルギーを1,200kcalにしましょう」

解答: b

115C45の解説

【プロセス】
①38歳男性
②身長172cm・体重84kg
③血圧146/88mmHg
④ALT 48U/L
⑤食後2時間血糖252mg/dL・HbA1c 8.2%
⑥総コレステロール248mg/dL・トリグリセリド252mg/dL
②よりBMI 28.4であり肥満。③はI度高血圧。④からは肝障害も読み取れる。⑤から糖尿病の確定診断となり、⑥より脂質異常症も指摘可能。生活習慣の改善が必要そうだ。

【選択肢考察】
a III度高血圧患者には運動は非推奨とされる。本患者はI度高血圧であり、運動は推奨される。
b 正しい。体重の変化を目に見える形で毎日認識することで、生活習慣の改善が促進される可能性が高い。
c 食後2時間値や随時血糖など、空腹時血糖以外の診断方法もある。
d たとえ糖質ゼロでも、アルコール自体にカロリーが含まれる。また、アルコール摂取により肝機能障害や尿酸値上昇など身体へのダメージも懸念される。
e 身長172cmであるため、標準体重は22×1.72×1.72≒65kg。軽労作と考え25〜30kcal/kg/日を乗ずると、1,625〜1,950kcal/日となる。ちなみに『日本人の食事摂取基準(2020年度版)』によれば、30〜49歳男性の推定エネルギー必要量は2,300〜3,050kcal/日となっている。いずれにせよ1,200kcalは少ない。

正答率:96%

テーマ:2型糖尿病の肥満患者への説明

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