115C41

25歳の女性。3か月前に虫垂炎で入院した際行われた腹部超音波検査で腎臓の異常を指摘され、母の腎臓病が遣伝していないか心配で検査を希望して来院した。母は58歳で、遺伝性腎疾患のため1か月前から透析している。母方祖父も60歳から同病で透析をしており、5年前に脳出血で亡くなった。父方の家系に同病の人はいない。身長160cm、体重51kg。血圧110/70mmHg。脈拍80/分、整。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、腫瘤は触知しない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血反応(−)。腹部造影CTを別に示す。母と同病であると診断された。近く、結婚予定で挙児希望がある。パートナーの家系に同病の人はいない。

この患者の子どもが同遺伝性腎疾患を有する確率はどれか。

男児は0%、女児は0%
男児は50%、女児は0%
男児は0%、女児は50%
男児は25%、女児は25%
男児は50%、女児は50%

解答: e

115C41の解説

【プロセス】
①若年女性
②母・母方祖父が遺伝性腎疾患
③母方祖父は脳出血で死亡
④腹部造影CTにて両腎に多発する嚢胞性病変
④より多発性嚢胞腎〈PKD〉を考える。①②より成人発症であり、常染色体優性遺伝のもの(ADPKD)が考えやすい。③は合併症として有名な脳動脈瘤であろう。

【ポイント】
常染色体優性遺伝〈AD〉であるため、本患者から原因遺伝子が子どもに伝わる可能性は50%である(パートナーの家系に同病の人はいないため、パートナーから子どもに原因遺伝子が伝わることはない)。常染色体遺伝の疾患であるため、男女差はない。ゆえに、男女とも50%が正しい。

正答率:97%

テーマ:常染色体優性遺伝多発性嚢胞腎症〈ADPKD〉患者の子供が疾患を有する確率(計算問題)

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし