115B45

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
43歳の男性。熱傷のため救急車で搬入された。
現病歴:揚げ物の調理中に着衣に着火し、職場の同僚が救急要請した。
既往歴:高血圧症と脂質異常症について食事療法中。
生活歴:飲食店の調理場で働いている。喫煙は10本/日を10年間、飲酒はビールを350mL/日。妻と2人暮らし。
家族歴:両親が高血圧症。
現 症:意識レベルはJCS II-10。身長170cm、体重70kg。体温37.1℃。心拍数90/分、整。血圧90/60mmHg。呼吸数36/分。SpO2 93%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。頭髪の前面と眉毛が焦げている。顔面、両上肢および胸腹部に、38%TBSA〈total body surface area〉のII~III度熱傷を認める。口腔と咽頭の粘膜には煤が付着していた。嗄声が認められる。
検査所見:血液所見:赤血球550万、Hb 17.0g/dL、Ht 49%、白血球7,200、血小板30万。血液生化学所見:総蛋白6.1g/dL、AST 45U/L、ALT 17U/L、LD 499U/L(基準120~245)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、Na 132mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 99mEq/L。

搬入時の輸液として適切なのはどれか。

10%食塩液
新鮮凍結血漿
5%ブドウ糖液
乳酸リンゲル液
25%アルブミン液

解答: d

115B45の解説

【プロセス】
①熱傷
②血圧90/60mmHg
③SpO2 93%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)
④38%TBSAのII~III度熱傷
⑤口腔と咽頭の粘膜には煤が付着・嗄声あり
①による血管透過性亢進で循環血液量が減少し、血圧低下がみられている(②)。⑤より気道熱傷が疑われ、酸素状態が良くない(③)。
搬入時の輸液には細胞外液成分を補うことのできるものを選択する。


【選択肢考察】
a 生理食塩水は0.9%である。10%は濃すぎる。これほど高濃度の食塩液を投与すると高ナトリウム血症や急性腎障害を惹起しかねない。
b 凝固因子の補充に用いられる。
c 細胞内液の補充を主目的とする。
d 正しい。細胞外液補充に適している。
e アルブミン投与により血漿膠質浸透圧を上昇させれば、細胞外液を保つことができる。しかし、これは乳酸リンゲル液などと併用して総輸液量を減少させる目的で利用するのが原則であり、単独で搬入時にまず投与することはない。

正答率:99%

テーマ:【長文1/2】熱傷患者の搬入時に使用する輸液

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