115B43

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
36歳の女性。頭痛を主訴に来院した。
現病歴:本日午前7時頃から視界にきらきらした点が現れ、その後に頭痛、悪心が出現したため、同日昼に病院を受診した。頭痛は徐々に出現し、増悪はしていない。21歳時から年に数回同様の頭痛を経験しており、頭痛は毎回1日で改善する。今回よりも強い頭痛を経験したことがあるという。
既往歴:5歳時に急性虫垂炎で手術。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:母が頭痛持ちであった。
現 症:意識は清明。身長160cm、体重50kg。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧126/76mmHg。呼吸数12/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。瞳孔は左右差なく、対光反射は迅速。眼球運動に異常は認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。項部硬直を認めない。四肢の筋力は保たれており、感覚障害も認めない。四肢の腱反射は正常であり、病的反射は認めない。
検査所見: 血液所見:赤血球372万、Hb 12.2g/dL、Ht 40%、白血球6,800、血小板16万。血液生化学所見:AST 29U/L、ALT 21U/L、LD 171U/L(基準120~245)、ALP 350U/L(基準115~359)、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 0.1mg/dL。
頭痛に関する文献を調べると、「突然発症である」、「増悪している」、「これまで経験した中で最悪の頭痛である」の3項目について、該当項目数に応じた重篤な原因による頭痛の尤度比が以下のように掲載されていた。
  該当個数0 → 尤度比0.1
  該当個数1 → 尤度比2.1
  該当個数2 → 尤度比9.1
  該当個数3 → 尤度比12.5

この患者が重篤な原因による頭痛を起こしている可能性について、事前確率と比べた事後確率の変化として適切なのはどれか。

高くなる。
低くなる。
変化しない。
計算できない。
事前オッズにより異なる。

解答: b

115B43の解説

【プロセス】
①壮年期女性
②頭痛
③視界にきらきらした点(閃輝暗点)
④頭痛・悪心
⑤頭痛は毎回1日で改善
⑥今回よりも強い頭痛を経験したことあり
⑦母が頭痛持ち
⑧瞳孔は左右差なし
⑨項部硬直なし
③をはじめとし、片頭痛の典型的なエピソード。⑤⑧から群発頭痛、⑥⑨からくも膜下出血〈SAH〉、⑨からは髄膜炎を、それぞれ除外できる。「肩こり」等のエピソードがなく、緊張型頭痛も考えにくい。

本文と文献の3項目を見比べるに、1つも該当がない。つまり、重篤な原因による頭痛の尤度比は0.1と分かる。


【選択肢考察】
a 尤度比が1より高い場合、事前確率と比べた事後確率の変化は高くなる。
b 正しい。尤度比が1より低い場合、事前確率と比べた事後確率の変化は低くなる。
c 尤度比がピッタリ1の場合、事前確率と比べて事後確率は変化しない。
d 計算できる。
e 事前オッズに尤度比を乗じたものが事後オッズであり、事前オッズがいくつであっても、変化の高低は影響を受けない。

正答率:85%

テーマ:【長文1/2】尤度比から考える事後確率の変化

フォーラムへ投稿

関連トピック