114F58

62歳の男性。吐血のため救急車で搬入された。今朝、突然の吐血があり、家族が救急車を要請した。意識レベルはJCS I-2。体温36.5℃。心拍数98/分、整。血圧110/78mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下)。眼瞼結膜は軽度貧血様で眼球結膜に黄染を認める。腹部は膨満し波動を認める。下腿に浮腫を認める。直腸診で黒色便の付着を認める。血液所見:赤血球328万、Hb 9.5g/dL、Ht 32%、白血球4,800、血小板4万、PT-INR 1.6(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白5.6g/dL、アルブミン2.8g/dL、総ビリルビン3.1mg/dL、直接ビリルビン2.2mg/dL、AST 56U/L、ALT 38U/L、LD 234(基準120〜245)、ALP 302U/L(基準115〜359)、クレアチニン1.0mg/dL、アンモニア135μg/dL(基準18〜48)、Na 131mEq/L、K 3.5mEq/L、Cl 99mEq/L。CRP 1.1mg/dL。上部消化管内視鏡像を別に示す。

治療として適切なのはどれか。2つ選べ

結紮術
硬化療法
ステント留置
内視鏡的粘膜下層剥離術
Sengstaken-Blakemoreチューブ留置

解答: a,b

114F58の解説

中高年男性の突然の吐血。黄疸や浮腫・腹水、アンモニア高値などからは肝硬変の背景が疑われる。直腸診で黒色便の付着を認めることから上部消化管出血を考えるが、画像にて食道静脈瘤の存在が指摘され、すべてのシナリオの説明がつく。
a 正しい。静脈瘤の標準的治療だ。
b 正しい。静脈瘤の標準的治療だ。
c 進行食道癌による食道狭窄などに有効。
d 早期食道癌の切除に有効。食道静脈瘤に対してこの術式を行うと、大量出血しかねない。★禁忌★
e 全身状態の悪い活動性出血で、内視鏡的処置が困難な場合に用いられる。本患者では血圧低下もなく、画像上も今まさに出血しているわけではないため、不適切。

正答率:92%

テーマ:食道静脈瘤の治療

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