114E49

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

79歳の女性。貧血の精査のため夫に付き添われて来院した。

現病歴:2週前の健康診断の結果、1年前には正常であった血液検査に異常がみられ、精査を勧められた。自覚症状はない。

既往歴:65歳時から高血圧症で降圧薬を服用している。76歳時から変形性膝関節症のため歩行困難で車椅子で移動をしている。

生活歴:80歳の夫と2人暮らし。

家族歴:特記すべきことはない。

現 症:意識は清明。身長150cm、体重54kg。体温36.2℃。脈拍96/分、整。血圧126/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腱反射は正常である。感覚系に異常を認めない。

検査所見:血液所見:赤血球381万、Hb 8.5g/dL、Ht 29%、白血球4,500、血小板29万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン4.5g/dL、総ビリルビン0.4mg/dL、AST 24U/L、ALT 22U/L、LD 163U/L(基準120〜245)、ALP 146U/L(基準115〜359)、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖93mg/dL。

病状説明を行い、診断のために翌日の下部消化管内視鏡検査を勧めたところ、患者から一言目に「検査は受けたくありません」と返答があった。

この時点でふさわしい医師の言葉はどれか。

「検査を中止しましょう」
「検査は危険なものではありません」
「ご家族の意見を聞いてみましょう」
「検査の必要性がわかっていませんね」
「なぜ検査を受けたくないのか、お聞かせください」

解答: e

114E49の解説

下部消化管内視鏡検査を受けたくない、という患者への対応。
a もちろん患者の自己決定権が尊重されるため、検査を受けたくないのであれば中止せざるを得ないのだが、いきなり中止の決断を下す前に、本人にその理由が聞いてみたいところだ。
b 危険そうだから受けたくない、と患者が述べたわけではない。まずはどうして検査を受けたくないのか聞いてみたい。
c 家族の意見がどうであれ、本人が受けたくないと言っていれば検査はできない。
d 患者をなじるような態度であり、好ましくない。
e 正しい。まずは傾聴だ。

正答率:100%

テーマ:【長文1/2】「検査を受けたくない」と言う患者にかけるべき医師の言葉

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