114D22

30歳の男性。貧血の精査のため来院した。昨年の健康診断では異常を指摘されなかったが、2週前から労作時息切れが出現したため自宅近くの診療所を受診したところ、貧血を指摘され精査のため紹介されて受診した。脈拍88/分、整。血圧122/78mmHg。眼瞼結膜は貧血様で眼球結膜に黄染を認めない。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球302万、Hb 8.3g/dL、Ht 28%、白血球2,400(桿状核好中球3%、分葉核好中球28%、好酸球2%、単球5%、リンパ球62%)、血小板5万。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン4.2g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 27U/L、ALT 19U/L、LD 948U/L(基準120〜245)、ALP 476U/L(基準115〜359)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸8.5mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102mEq/L、Ca 10.0mg/dL、P 6.0mg/dL。CRP 0.8mg/dL。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。異常細胞のペルオキシダーゼ染色は陰性で、表面マーカー解析ではCD10とCD19が陽性で、CD20とCD33は陰性であった。染色体検査でPhiladelphia染色体が検出された。

この患者に投与すべき薬剤はどれか。

イマチニブ
ゲフィチニブ
リツキシマブ
ブレオマイシン
全トランス型レチノイン酸

解答: a

114D22の解説

本文最後にPhiladelphia染色体〈Ph〉の旨が記載してある。Phが陽性となる疾患は慢性骨髄性白血病〈CML〉か一部の急性リンパ性白血病〈ALL〉のいずれかであるが、血小板が低下していること、画像にて白血病裂孔が陽性であること、CD10と19が陽性であること、などからALLと考えられる。
a 正しい。チロシンキナーゼ阻害薬であり、Ph陽性ALLに有効。
b EGFR阻害薬。非小細胞肺癌などに有効。
c CD20陽性のB細胞系リンパ腫に有効。
d Hodgkinリンパ腫に有効(ABVD療法のBに該当)。
e ATRA療法や分化誘導療法とも呼ばれ、急性前骨髄球性白血病〈APL〉(急性骨髄性白血病〈AML〉のM3)に有効。

正答率:95%

テーマ:Philadelphia染色体陽性急性リンパ性白血病〈ALL〉の治療薬

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