114D15

64歳の女性。複視と不眠を主訴に来院した。2か月前から夕方になると瞼が重くなり、物が二重に見えるようになった。1か月前から、疲れているときに水分を慌てて飲むと鼻に逆流することを自覚した。症状は夕方になると悪化する傾向があり、不眠が続いていたという。既往歴に特記すべきことはない。抗アセチルコリン受容体抗体が陽性であった。胸部エックス線写真(A)及び胸部造影CT(B)を別に示す。

まず行うべき治療として適切なのはどれか。

胸腺腫を含む拡大胸腺摘出術
シクロスポリン投与
ベンゾジアゼピン系睡眠薬投与
放射線療法
薬物による抗癌治療

解答: a

114D15の解説

夕方や疲労時に悪化する筋力低下。抗アセチルコリン受容体抗体が陽性であることから、重症筋無力症〈MG〉と判断することは容易。画像ではAにて右肺門部の腫瘤影が、Bにて前縦隔の腫瘤影が同定可能。胸腺腫であろう。
a 正しい。胸腺腫のみられるMGに対して第一選択となる治療である。
b MGに対して用いられることはあるが、第一選択とはならない。
c 「不眠が続いていた」という本文中の記載から作成された当て馬選択肢であろう。MGの治療とはならない上、むしろMGに起因する筋力低下と合わさり呼吸停止を惹起しかねない。★禁忌★
d 浸潤性胸腺腫の治療として行われることはあるも、本症例には不適切。
e 浸潤性胸腺腫の治療として行われることはあるも、本症例には不適切。

正答率:98%

テーマ:重症筋無力症〈MG〉にまず行うべき治療

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