114C61

酸素投与とともに、生理食塩液1,500mLを輸液したところ、体温38.1℃、脈拍96/分、整。血圧112/64mmHg、呼吸数24/分、SpO2 97%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下)となった。

この患者の状態はどれか。2つ選べ

菌血症
敗血症
多臓器不全
敗血症性ショック
播種性血管内凝固〈DIC〉

解答: a,b

114C61の解説

出題者的には臨床感を出すためのあえての悩ましい状況設定なのだろうが、少し攻めすぎかな、という印象。筆者も敗血症か他臓器不全かDICで悩んだ。正答率は約50%であり、半数の受験生が落とした悪問である。解けなかったとしても気にしなくてよい。
a 正しい。血液中に菌が存在することは確実であろう。
b 正しい。確かに輸液によって血圧が112/64mmHgと回復している。そのため、qSOFA scoreは呼吸数≧22/分しか満たさず1点となり、敗血症を疑うべき2点以上ではなくなっている。しかし、前問の時点では収縮期血圧が100mmHgを切っており、qSOFA scoreが2点で敗血症疑いだったわけだ。生理食塩水を投与しただけで敗血症が治るのか、というとそうではあるまい。他に適切な選択肢が無い以上、これを正答と考えざるを得ない。本選択肢を選べた受験生は約7割であった。誰にとっても悩ましかった問題と思われる。
c 肺炎があるため、肺障害はたしかにあるといってよい。また、クレアチニンは1.2mg/dLと軽度上昇している。すなわち肺と腎という2臓器異常が障害されているため、この選択肢が正しいのではないか? そう考えた受験生も10%程度いた。しかし、SpO2は97%と正常だ。少なくとも呼吸不全はない。また、クレアチニン1.2mg/dLというのも軽度上昇である。肝や中枢神経といったその他臓器の障害を強く疑わせる記載もない。悩ましいが、多臓器不全よりも敗血症に軍配を上げたい。
d 平均血圧が(112−64)/3+64=80mmHgであり、血液中の乳酸値も基準値内である。ゆえに否定される。
e Dダイマーはたしかに上がっているが、血小板数は基準値内。特に出血傾向もみられないため、否定的。とはいえ、約3割の受験生がこの選択肢を選んで失点してしまった。この患者にDICを合併している確率が0%か、と聞かれたらそうとも断言できず悩ましいところだ。国家試験の問題を解く際には、すべての問題に0%か100%か、と白黒つけようとするスタンスではなく、要求された個数に優先順位をつけて選んでいくというスタンスをとることが望ましい。

正答率:56%

テーマ:【長文2/3】菌血症と敗血症の診断

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