114C49

29歳の女性(1妊1産)。分娩後1日で入院中である。妊娠38週0日で骨盤位のため帝王切開分娩となった。術中出血量は800mLで術中術後の経過は順調であった。術後の初回歩行を開始したところ、突然の呼吸困難と胸痛とを訴えた。意識は清明。身長154cm、体重77kg。脈拍104/分、整。血圧128/76mmHg。呼吸数26/分。SpO2 92%(room air)。呼吸音に異常を認めない。

最も考えられるのはどれか。

羊水塞栓症
急性心筋梗塞
周産期心筋症
肺血栓塞栓症
急性大動脈解離

解答: d

114C49の解説

帝王切開分娩後、初回歩行を開始したところ突然の呼吸困難と胸痛とを訴えた29歳の女性。状況的に肺血栓塞栓症が考えやすい。
a 羊水塞栓症は破水直後にみられる。帝王切開分娩では術中〜術直後にみられるはずだ。本症例のように分娩後1日で出現する可能性は極めて低い。
b 若い女性であり、特に冠危険因子の記載もなく、考えにくい。
c 心疾患既往のない女性が、妊娠・産褥期に心不全を発症し、拡張型心筋症〈DCM〉に類似した病態を示す心筋症である。みられるのは急性心不全症状であり、初回歩行開始直後の突然の呼吸困難と胸痛はエピソードが合致しない。
d 正しい。上記の通り。
e 若い女性であり、特にMarfan症候群などの記載もなく、考えにくい。

正答率:97%

テーマ:肺血栓塞栓症〈PE〉の診断

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