114C43

76歳の男性。腹部膨満感と腹痛を主訴に来院した。3か月前に急性単球性白血病(FAB分類M5)と診断され、数種類の異なる薬物による抗癌治療を受けた。しかし現在まで一度も寛解に至っていない。1週前から腰背部痛が出現したためNSAIDを内服したが効果は不十分で、昨夜からは腹痛も出現し次第に増悪して自立歩行不能となったという。意識は清明だが顔面は苦悶様である。身長171cm、体重54kg。体温37.1℃。脈拍88/分、整。血圧118/78mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。胸骨右縁に収縮期駆出性雑音を聴取する。四肢に皮下出血を認めない。血液所見:赤血球282万、Hb 8.0g/dL、Ht 26%、白血球52,400(骨髄芽球74%、桿状核好中球2%、分葉核好中球12%、好酸球1%、好塩基球1%、リンパ球10%)、血小板10万。血液生化学所見:総蛋白5.1g/dL、アルブミン2.8g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 34U/L、ALT 37U/L、LD 1,350U/L(基準120〜245)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン1.3mg/dL、尿酸9.8mg/dL。腹部超音波検査と腹部CTで、広範囲に腸間膜リンパ節と後腹膜リンパ節の腫大が認められ、それによる消化管への圧迫と浸潤が疑われた。

現時点でまず考慮すべき治療はどれか。

アルブミン製剤投与
オピオイド投与
血小板輸血
全身放射線照射
薬物による抗癌治療

解答: b

114C43の解説

寛解に至らない白血病。NSAIDが不十分で、消化管圧迫・浸潤による腹痛も増悪していることから、さらなる疼痛ケアを考慮したい。
a 確かにアルブミンは低値だが、これによると思われる浮腫などが現在の問題となっているわけではないため補充不要。
b 正しい。オピオイドによる疼痛ケアが望まれる。
c 確かに血小板数は低下しているが、これによる出血傾向などが問題となっているわけではないため、不要。
d 本患者に対し、疼痛ケアをせずに積極的治療を行うのは現実的ではない。ゆえに「まず考慮すべき治療」とはならない。
e すでに抗癌治療を受けているも、一度も寛解に至っていない。さらなる抗癌治療が功を奏する可能性が高いとは言えず、「まず考慮すべき治療」とはならない。

正答率:95%

テーマ:転移をきたした急性単球性白血病〈AMoL〉にまず考慮すべき治療

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